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2005.03.20

弁No.10 国選弁護事件被告人の老母が、裁判終了後、自宅で作った野菜や漬け物を持ってお礼に来られたら・・・

弁No.10  本物の新人弁護士、すなわち57期として司法修習を終えて、もっぱら仕事として弁護士を始めた方たちは、すでに新人弁護士研修のメニューをこなすことなど、とっくに終わっていることでしょう。残っているとしたら、事件数が少ない「人権救済申立事件調査」くらいではないでしょうか。実は、機会を失って、いまだ、福岡弁護士会で登録した57期の方々とは、お一人を除いてほとんどお話のチャンスを持てないでいます。したがって、どのように研修を終えられたのかは分かりません。

 東京での最初の研修(10月2日)において印象深かったことを2つだけ、書いておきましょう。

 第1は、研修の講師をされる「先輩」弁護士が、すべて、私が司法改革問題を語り始めた16年前(1988年)よりも後で弁護士になった若い方々である、ということです。88年から92年頃、私が東京を始めとして各地を回って司法改革論を話していた頃に登録をされた方々は、早い方にあっては弁護士会長になられ、その頃、いっしょにシンポジウム計画・設営などで連絡を取ったり、親しくご交誼いただいた方たちは、すでに各地で弁護士会長を終えられる年齢なのです。従って、今、新人研修に当たっている方々は、すでに私の名前などご存知ない、まして、『人間の尊厳と司法権』などという本は知らない、という世代なのです。私が日弁連でグループ単位で受けた際の研修講師2名とも、「自分はこの間の司法改革の流れについては詳しくないが」とおっしゃっていました。代わって私が話そうか、とついつい思ってしまいました。まぁ、「司法改革」は、「年とともに去りぬ」というところでしょうか。福岡での研修でも、一番若い講師は、弁護士登録後数年という方でした。講師陣に対して、「日本における司法改革史」の研修も必要かな、などと思ったりもしました。

 第2は、倫理研修の重要性です。私は、人に倫理を語ることのできるような人生を送ってきませんでしたから、ときおり直接に、あるいは人づてに依頼される公務員関係や各種団体での「倫理研修」は、すべて自己不適格と考えて、お断りしてきました。正直言って、倫理研修を管理職でもない、いわんや最高幹部でもない方たちにいかに説いたところで、上層部で反倫理的な行為があるとしたら、部下はモノもいえず、内部告発もできず、つらい目に遭うだけです。最高幹部たちが、襟を正し、「李下に冠を正さず」という姿勢さえ持っておれば、倫理違反の行為など、そう生ずるものではないと思います。したがって、倫理教育は上層部が腐敗している組織社会であるならばどれほど有効であるのか疑問があるのですが、弁護士に対する倫理研修は有益でした。福岡でも2回、この倫理研修を受けましたが、その都度、参考になることが多くありました。

 日弁連での多数の設問の中の一つから。
 〔設問2〕詐欺事件についての被告人の国選弁護人に選任された。次の場合、どのようにするべきか。
 1.被告人の家族から、国選弁護では報酬も安く充分な弁護活動はできないので、私選弁護に切り替えてやってもらいたい旨の申し出を受けた場合。
 2.被害者と示談をするため、被告人の家族とともに被害者宅へ赴いた。その帰り際、被告人の家族から、タクシー代として現金5万円を差し出された場合。
 帰りの切符を差し出された場合はどうか。
 3.被害者宅に赴いたところ、コーヒーとケーキが出され、被害者と交渉する内に話が弾み、被害者から別件の売掛金請求を依頼された。国選事件係属中にその別件の売掛金請求事件を受任してよいか。終了後に受任する場合はどうか。
 4.国選事件は終了した。
 被告人が、フォアグラとフランスワインの詰め合わせを宅配便で送ってきた場合。
 被告人の老母が、自家製の野菜を持って挨拶に来た場合。

 会場で示された解答は、今は書きません。微妙なことから、学ぶことが多々あります。

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