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2005年6月の記事

2005.06.26

弁No.33 台湾の憲法裁判所が考える「子どもの法教育」

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弁No.33  以下の台湾の 司法院(憲法裁判所) のHPには、日本の最高裁のホームページを見ている者からは信じられないような画像や説明・解説が出てきます。是非、ご覧ください。
 司法院(憲法裁判所)ホームページにおける台湾の子どもの司法教育
 明治時代からスタートし、法院拘留室まで見せている台湾司法博物館も日本だったらどうでしょう。
 日本の最高裁のホームページにも、家事関係事件の書式などは、ある程度ありますが、書式自体は購入するか、弁護士会の会員用サイトからダウンロードする形が多いと思います。司法院のトップページの右側上から6番目にある書状範例(書式集)も見てみましょう。

 ちなみに、『中華週報』1887号(1998.12.17) には、以下の記述があります。

 「このほか司法改革の一部として、司法体系における裁判の独立性を、制度によってますます強く保障するようになった。たとえば、第一・二審裁判所の裁判長の選任は、司法院の推薦とともに、裁判官の無記名投票によって定員に数倍する候補者名簿を作成し、司法院が各候補裁判官の業績、品徳、志願任地など に基づいて名簿を審議委員会に送付し、そこでの討論によって決定されるようになった。この新たな制度により、司法人事への国民の信頼度は大いに高まった。」

 台湾の裁判官人事の実務には、相当の工夫と成果が見られると思いますが、まだ、日本に全容は紹介されていないように思います。

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2005.06.24

弁No.32 ブログを書く暇があるなら、論文を書け!

050624p6230099050624p6240107弁No.32 と、言われます。同様にブログ欄を持っている先生方にも同じような指摘や注意が、同僚などからあるようです。私も同感でして、こういうものを書いているなら、論文を書きたいとも思います。ですが、ですが、ですね。論文を書く時間がなくなったから、ブログで日記風のものを書いているのです。昨年度だけでも、記念論文集などに寄稿する原稿を完全寸前のところまで数本書きました。しかし、結局時間切れで未完成で終わりました。
 ロー・スクールができて、日本の法学は世界の水準から10年以上遅れるであろうと言われていました。まさしく、その通りになりそうです。奇しくも『法律時報』の7月号でしたか、たまたま見た、3本のロー・スクール(法科大学院)関連の論稿のすべてにその旨の記述があったような記憶があります。確かに、ロー・スクールに時間を取られ、ほとんどのこれまでの「研究者」が研究をする時間はなくなったようです。
 そこで、とりあえずのアイデアや、気づいたことで、今のうちに述べておいた方がいい、というものを、いわば論文執筆に代えて載せているわけです。
 とは、いいつつも、本当の論文ネタになることは、とても分量的にこのブログの枠内で書くことは難しいのですが。ときどき、問題提起として載せることにします。
 それにしても、この1週間、刑事事件の被告人質問や、民事事件の当事者尋問が続き、その準備で大変でした。判決は、1ヵ月後のものから、秋も遅い時期のものまで続きます。新たなADR申立事件も始まりそうです。ヒヨッコ弁護士の試練はまだまだ続きます。
 季節は確実に移ろい、福岡の家裁以外の裁判所が入っている福岡城跡のお堀にある蓮の花も咲き始めました。

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2005.06.20

弁No.31 『自立する葦』

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弁No.31 全国裁判官懇話会全記録刊行委員会編『自立する葦』(判例時報社、2005年)が、残念ながらまだあまり多くの読者を得ていないようです。この本は、「1971年のいわゆる司法の危機から30年余,今裁判所は司法制度改革の中で大きな曲がり角に差し掛かっている。本書は,その30年間における現職裁判官の自主的会合の全記録である。日本の裁判所史上類を見ないこの記録は,裁判官の在り方を考える生きた教材」(同書の帯に書かれている文章)です。本書の内容もさることながら、1,680円という値段にして最大の特徴は、おまけともいうべき付録のCDです。これには、全18回の懇話会全記録、なんと1,218頁がPDFファイルで再録されていますから、お買い得です。ただ、残念なことに、ISBN(国際標準図書番号)も付されておりませんし、オンライン書店にもほぼないようです。書店系でヒットするのは、このサイトくらいでしょうか。直接、書店から判例時報社に注文するのがいいでしょう。書籍データも含めて、裁判官の方からの投稿をご参照ください。ちなみに、私は、同書の中で、ひょっとしてもっともページ数を多くいただいて「全国裁判官懇話会が果たした役割とこれからの課題―全体会の記録を読んで」というコメントを、それこそ「司法の危機」の時代からの多数の文献を読んだうえで書いています。私が大学に入った年、1969年は、司法が誤った道に進み始めた年なのです。私の研究歴は、この司法の危機をそのままトレースするものです。この本を、すべての年齢層の職業法曹だけではなく、とりわけロー・スクール学生に読んで欲しいのですが、試験勉強でそれどころではないのでしょうか?

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2005.06.16

行政・自治No.9 明日6月17日(金)の放送大学大学院講座にゲストで出ます

行政・自治No.9 明日、6月17日(金)の21時30分から、放送大学大学院の講座 「地方自治政策Ⅰ」 にゲスト出演します。当日の担当は、天川晃教授(放送大学の専任教授)で、「第11回 自治体のネットワーク」です。お暇な方は、ご覧ください。 タイトル通りに、自治体が相互のネットワークを張ることの重要性を述べたはずです。収録は、今年の1月、福岡で。話したうちの、どこが、どのように採用されているかどうか、まったく現時点ではわかりません。
 ケーブルテレビが入っている家庭など、視聴できる方は限られると思います。
 放送大学大学院の授業料がいくらか、今日、はじめてホームページを見て知りましたが、1単位1万円となっています。研究指導料だけは1単位当たり2万円です。30単位が修士課程修了に必要な単位数ですから、おそらく膨大な額の国費が投入され、授業料の5~10倍くらいのコストがかかっているのはないでしょうか。旧・国立大学も基本的にはそのような構図なのでしょう。財政面は、良くは分かりませんが、そのような印象を持ちました。

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2005.06.13

行政・自治No.8 ミヒャエル・エンデじゃないが、別の意味で、「時間どろぼう」

行政・自治No.8 多くの役所・大学では、私の知る限り、電話は今でもアナログです。交換機を経由してのゼロ発信であることはともかくとして、電話機の形だけはプッシュ式でも、いわゆるデジタル回線のピポピポではなく、かつ、受話器からは、ジージーと、のどかな音が聞こえます。そして、相手が出ない、本人不在、間違いダイヤル、その他の事情で、メモ帳や電話番号表、住所録などを見ながら、また市外局番から電話をかけ直している風景はざらです。
 今から20年前、ドイツ・バイエルン州の内務省で、1970年代に行政の簡素化・機械化に努めた官僚 ルートヴィッヒ ヴィーデマン(Ludwig Wiedemann)氏に会いました。彼は、パソコンに向かって、クリック一つで、電話をかけていました。日本では、電話機ごとに登録できる短縮番号の機能すら普及していない時代のことです。正直、その「クリック一つで電話」ができる能率性に驚きました。衝撃的でした。彼は、官僚といっても、いわゆる上級職の方で、総合大学卒の高級職ではありません。また、彼が行政簡素化に尽力したのは、彼の30歳代のときですが、数々の行政の能率化に貢献したのです。
 翻って、21世紀に入った日本。今でも、ほとんどの役所・事務所・研究室で、プッシュボタンを押す光景が見られますが、いちいち電話をかけ直しているコストは、私の勤務する大学辺りでも、人件費で計算し直すと年間数千万円では収まらない時間を無駄にしているでしょう。
 大規模自治体では、電子メールの登録アドレスが100件を超すと、自動的にアドレス帳自体が消去されるところもあるといいます。事務能率という点からは、未登録単語や長い文字列の短縮読みによる辞書登録機能をまったく使えない自治体も少なくないようです。私の場合、1万1千語の単語登録をしています。わずかに「ひらがな2文字」でたいていの専門用語も出ます。郵便番号付きの自宅の住所も、ひらがな2文字で、漢字版、英語版がでます。「実家」と打つと、郵便番号付きで、最近自治体名が変わった長ったらしい住所も1発です。ちなみに、「でふぁ」と打つと、大学研究室、法律事務所、自宅、外国向けの国識別記号付きの最低4種類の電話・ファクス番号が、漢字変換機能として使えます。
 多くの事務部門で、毎日、自治体名から、自治体所在地まで、手で打っている姿を見ると、「人件費を戻せよ」、と言いたくなります。
 同じことは電話にも当てはまります。オートダイヤル機能を使えば、クリック一つで、間違いなく電話をかけることができます。私の場合、2000件近くの個人や企業・組織・団体の住所などのデータが、自宅と勤務先の双方とも入っています。これなくしては、事務能率は上がりません。しかし、アナログの大学研究室では、あと10年は使える見込みがないでしょう。ファクスもパソコンから直接送る方が、楽な上に、安いし、何よりもきれいな画質で送れますが、これも大学では使えません。
 あまりに、オートダイヤル機能が使われていないせいか、私のお気に入りの「筆まめ」では、2005年版から、この機能が削除されたと聞きます。先般、法律事務所で導入するために、大規模電気店に依頼して本社在庫を調べてもらったところ、わずかに1セットだけ、2004年版の在庫があったそうで、無事に、オートダイヤル機能付きの住所管理ソフトが入りました。
 一流の民間企業でも、朝から晩まで、一つ一つ、プッシュ・ボタンを押しているのでしょうか? 公務の現場では、行財政改革の一環として、もっと時間コスト意識を持って欲しいものです。この程度のことができないとしたら、その理由は、IT技術のどこに論点があるからなのでしょうか? セキュリティ?

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2005.06.08

行政・自治No.7 「電子メールを送ったから読んでね」みたいな・・・

行政・自治No.7 報道によると、最近、ファクスの送信ミスで、誤送信先に他人宛のファクスが送信されるという事態が、少年事件関係の組織や弁護士事務所で相次いでいるようです。
 私も、弁護士業務を始めた頃に、今や研究者同士ではほとんど使うことのないファクスが、法曹界では「我が世の春」を謳歌している?ことに、まずもって驚きました。
 そして、その次に、事務員さんが、法律相談センターであれ、弁護士会や裁判所、検察庁であれ、1件1件、「弁護士○○の事務所の者です。さきほどファクスを送りましたが、届いておりますでしょうか」と確認の電話をしているのを見て、なんという無駄なことかと思っていたのです。しかし、それがいかに重要なことであるか、すぐに分かりました。確かに、1つのボタン数字の押し間違えで、全く異なったところに着信するわけで、翻ってみれば、私の自宅にも、稀におよそ心当たりのない工事発注書や注文一覧、見知らぬ人宛の通知文書などが届きます。こういうケースの多くは、頭書きがないために、誤った送信者に連絡のしようがありません。
 手動で電話番号を押す方式でファクスを使う以上は、注意力を強化するしかないでしょう。電子メールも送信先を間違えればどうしようもないので、問題は似たり寄ったりでしょうが、認証システムや文書の暗号化技術なりのノウハウの修得が遅れていますから、この業界での安全な送信は容易ではないですね。個人情報保護だらけの文書をファクスで送るのは当分仕方ないでしょう。

 ここで次なる問題だと思うことは、多くの役所や事務所で、いまもってファクスの送信先番号が手作業で入力されるということです。私の自宅は、当然のことながらデジタル回線で、ファクスは、作成した文書を直接に送り状を付してパソコンから送信します。しかし、大学は今もってゼロ発信のアナログ。どうもパソコンからはうまくいかないのですが、そのことを考えると、もっと巨大な「日本の行政組織の欠陥・無駄」というテーマにぶつかっていきます。そのことについては、次回に。

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2005.06.06

行政・自治No.6 最高裁の内部のような自治体議会棟

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行政・自治No.6 この土日は、7月に札幌で開催される自治体法務合同研究会の九州グループ(九州自治体法務研究会)の報告内容を固めるための合宿研究会に出てきました。新幹線の鹿児島中央駅から道路・フェリー・道路とつないで、2時間ほど南下した鹿児島県肝属(きもつき)郡錦江町(この3月に大根占町と田代町が合併した新自治体)が会場です。この九州グループの合宿は、昨年に続いて鹿児島での開催となりました。パワーがあるからでしょうか。
 夕方の野外バーベキューは、研究会メンバーが家族総出で準備していただきました。特に、「子持ちキビナゴ」のバーベキューは、絶品でした。
 今日、月曜日は、自治基本条例の制定を巡って、執行部と議会が全面対立しているとマスコミ報道している案件について、年休をとって、参考人として出てきました。熊本市議会の特別委員会で歴史上初めての「参考人」招致のようでして、日当3300円、そのうち正副議長らと取った食事代1050円をさっぴくという条件で、2250円というすさまじい報酬をいただいて、5時間ほどの拘束を受けて戻ってきました。出頭が決まってから1ヵ月、相当の時間を費やしてパワーポイント画像も含めて準備したのですが、この扱いはなかなかのものです。行くときにはタクシーを使ったので、実質手取り1000円ちょっとです。この間、本もずいぶん買ったのですけどね。
 ニセコ町のように、議会のたびに会議室を議場にする小規模自治体をいくつか見てきたために、膨大な数の委員会室、正副議長用の広大な執務室、超広々とした議長応接室など、自治体の「ゆとり」(?)に、頭の中がおかしくなります。市の職員も議会棟への連絡通路など、あまりよく分かっていないようです。そして、議会棟では、迷子になります。
 今日は、普段の委員会室のレイアウトを完全に変えてもらい、固定焦点カメラもはずし、外注された業者がわざわざウン十万円でセットした立派な撮影用カメラを用いての委員会となりましたので、上映したパワーポイント画像も、庁舎内にあるモニターに鮮明に写りました。今回の「特例」が、議会運営を今後変えるきっかけの一つになることを期待します。
 それにしても、6000人以上の職員のうち、今日の質疑を見てくれた人は、委員会室にいた幹部を除けば数十人にもならないでしょう。自治基本条例の実施には、道遠し、を実感しました。議会の方は、一気に元気が出てくるのかもしれませんが。
 それ以上の諸感想は、あまりにも多いので、各方面への配慮から、遠慮させてください。DSC_0095

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2005.06.02

弁No.30 ほんとうに危ないんじゃないか!?

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弁No.30 私どもの法律事務所のあるビルの四隅のうち、3つの角は、道路上から良く見えます。右下の写真は、事務所入り口です。ナント、日々、タイルその他のひび割れがひどくなっていっているようです。余震はほとんどなくなった、というのにです。自己崩壊しそうな感じすらします。
 今日は、午後だけで9件の相談に対応しました。F市本庁では25分の法律相談が7件、そして事務所に帰ってから2件、午後6時からは弁護士会でマンション管理法の2時間の研究会。ためになる講義3本も聞いて無料ですから有り難いことです。法律相談では、全員がニコニコしてお礼を言って帰ってくださったのが救いです。ただ、1件だけ、専門違いで、お答えできないテーマがありましたが、そこは、事案を丁寧に聞いてより専門的に詳しい先生を紹介することで、許していただきました。各先生の専門分野を知っていて、率直に、そちらを紹介する方が、無責任な回答をするより良心的ではないか、と勝手に思っているところです。それにしても、25分で法律相談を7件連続というのはなかなかの労働ですね。1円も自分に入らないのが情けないですが。


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2005.06.01

行政・自治No.5 10,000番目のアクセス

行政・自治No.5  このホームページの10,000番目の閲覧者は、私が代表を務める「自治体法務研究会・さすらいグループ」の代表代行をしていただいている自治体職員の方でした。たまたま、昼の休憩時間にクリックしたところ、番号が10,000だったそうです。
 最初に希望された本が、木佐編『ドイツにおける行政の改革(Modernisierung)の法学的研究』。

 ですが、これは、科研費による共同研究をまとめたもので、簡易製本したものにすぎず、国会図書館と九大が所蔵する2冊しかありません。

 そこで、連絡の結果、論文である木佐茂男「訟務制度にみる公共性と法治主義(一)~(二・完)」『北大法学論集』41巻5・6号(1991年)2407~2438頁、42巻1号(1991年)105~174頁を希望されましたので、これを謹呈することに致しました。
 もし、書籍を希望されない方がいらっしゃれば、ニセコ・リゾート観光協会から、アスパラガスを送ってもらおうと考えていました。

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