弁No.42 台湾の司法改革(その7)
弁No.42 司法院院長主催の晩餐会において、裁判官が定年前に辞職するケースとしてどのような場合があるのかが話題になりました。
日本では、「ずっと裁判官を辞めたかった」と述べて定年前に退職した裁判官や、任地差別で辞めざるを得なかった裁判官、あるいは、環境問題に積極的に取り組むためにも辞職した裁判官がいることなどが話題になったあと、台湾では、という話になり、「ある裁判官は、環境問題に現場で対応するために、辞職して、国立の自然環境保護地区(太魯閣(たろこ)国家公園)の現場の担当者になった」、すなわち、法曹資格を放棄して、自然環境保全の活動をしている人のことが何人の大法官(憲法裁判所判事)らから言及されました。
その翌日、数百キロ離れた花蓮という台湾東部海岸の市にエクスカーションで出かけ、夕暮れも近づいて、環境保護地区のビジターセンター事務所に最後の挨拶に行ったら、なんと、その辞職した裁判官の方が、まったく偶然のタイミングでいらっしゃいました。それまでの話の中身から、てっきり男性だと思っていたのですが、女性の方でした。そして、彼女は、今後、公務員身分をもっての自然保護活動は辞め、ボランティアでやっていきたい、と仰っていました。自分が食べていけるだけの収入があればいい、と。若い世代の職業裁判官からボランティア活動家への転身は、日本ではまだ考えられないことだと思います。写真左が、その方で、右側のかがんでいる女性は、太魯閣国家公園自然保護区を案内していただいた同僚の方(職名は、書記)す。(お二人の許可を得ましたので、目隠し部分を取り除きました)
台湾の裁判官数は、うろ覚えですが、人口比で、日本の3倍くらいです。日本でも、裁判官や弁護士がもっと増えると、こういう生き方をする人が出てくるのではないでしょうか。
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