行政・自治No.33 大学教職員の給与水準
行政・自治No.33 今日9月30日の午前に、最高裁は、最高裁裁判官会議で、人事院勧告の受入れを決めたそうですね。最高裁と下級裁判所を問わず、「裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない」(憲法79条6項、80条2項)。今回の「受入れ」は、少なくとも表面的には、これらの条文と正面衝突と思われますが、いかに合憲と説明されるのでしょうか。
さて、昨日(9月29日)付で配信された教職員組合資料を見ましょう。以下、本学とは、九州大学のことです。
―― 引用 (太字は、引用者による)――
4.本学教職員の給与水準は低い
法人の給与を決定する場合に「社会一般の情勢」に配慮するというであれば、法人職員と国家公務員との比較(ラスパイレス指数)を考慮するのが誠実な対応というものであろう。文科省の資料によると、本学職員の給与水準は、ラスパイレス指数で国家公務員を100とした場合、88.6であり11.4ポイントも低い。教員の給与水準についても、国立大学の給与水準は都市部の私立大学と比べて大きな格差(月給で約10万円)があることが指摘されており、こうした格差が国立大学において優秀な教員の人材確保を困難にしている。「社会一般の情勢に適合したもの」であるならば、こうした格差を是正することこそが良識ある法人経営であろう。本学で働く教職員の給与の引き下げは、国家公務員の身分を失った教職員の士気の低下を招き、結果として、九州大学の発展にとってマイナスとなることを指摘せざるを得ない。
―― 引用、おわり ――
教員の給与の差が約10万円というけれど、これは全世代の平均値でしょうね。私どもの世代であれば、15万~20万円の差より大きいでしょうか。ただし、教育の負担は、一般的に言えば、私学に比べて、旧・国立大学の方が少ないのはほぼ間違いありません。しかし、これも一概には言えず、大学により事情は異なります。
このところ毎年、法学部で行われる大学院進学説明会で必死に「大学研究者」の魅力を説明しているのですが、私の周辺の学生は、誰も受験してくれません。一度「入院」したら、まず、7年~10年間程度は、給料はないですからねぇ。うまく就職できても、同一世代の人と同じ額をやっともらえるだけだから、生涯賃金では回復するはずがない。今や、奨学金も当たらない時代になっていますから、「貧者には院進学は無理」と判断されても仕方がないでしょう。私自身、生活は苦しかったけれど、院生時代、大学には何も納めた記憶がないですし、奨学金は教職についたからチャラ。まだ、大学院に行ける時代でした。いまや、裕福でないと、本もパソコンも買えません。そもそも大学教員が「社会構成」を反映しなくなると、社会科学としては危機的な状況を迎えそうです。そして、何よりも、私たちの世代が大量に退職する時期には膨大な数の研究者欠員が出ます。果たして、どうして充足するのでしょうか。
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