行政・自治No.24 静かな選挙と熱い選挙(その3)
行政・自治No.24 ここドイツでは、街頭でうるさい選挙運動がなく、せいぜい歩行者専用道路などのテント下でのほそぼそとした「対話」が行われていますが、対話の場所は、そこだけではありません。
ドイツの場合、どんな田舎の町や村に行っても、たいていは、雇用確保などの目的で意図的に設置された連邦や州の各種の施設があります。私の取材先にも、本当に小さい町や村があります。その小さな村の食堂に夕食のために入ると、さも日本人を初めて見たというような視線を浴びることがあります。そういう村であっても、レストランは実に小ぎれいです。そして、どんなレストランにも地元の常連だけが座れるシュタム・テッシュ(辞書には、「常連用のテーブル」とあります)があって、そこでは、しょっちゅう政治についての侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をしています。
この写真は、今いる大学の交差点反対側にある、近くに店もほとんどない小さなレストランで、その名前は、直訳すると「おばあちゃんの台所」。ここにもシュタム・テッシュがあります。
日本人は、意識的に自分の政治信条や支持政党についての言及を避けますし、生涯、政治に関わらなかったことを誇りにする人も普通ですが、こちらでは公務員や自治体連合組織の職員などでも所属政党は重要な意味を持つので、給料の号棒と同様に、意外にあっけらかんと所属政党・支持政党を教えてもらえます。どの政党にも所属していない人の場合にも、おもわぬ第三候補者として有力なポストに就くこともありますし、政党人なるゆえに、州によっては不利なこともありますが、16もの州があり、異なった政党、ないしいくつかの政党の組み合わせの妙で、どこで芽が出るかわかりません。
かつて、ドイツで司法改革を進めた中心人物のヴァサーマン・ブラウンシュヴァイク州上級裁判所長官(同氏については、この私のホームページの「とりあえずのご紹介・3」をご覧下さい)が1986年に著したベストセラー「観客民主主義」(彼の著作のドイツamazonにおける全リスト)。残念ながら、表紙画像がありません。私の自宅には現物がありますが)が描くように、ドイツとて国民は政治劇を芝居として見ているということへの批判がありましたし、今でもあるでしょう。日本から見ると、レベルがだいぶん違いますが。
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