行政・自治No.30 法治国家のビール・ジョッキとワイン・グラス ― 閑話休題
行政・自治No.30 ドイツのどんな小さな町に行っても、たいていは中華料理店があります。私が入っていくと、とたんにBGMの音が小さくなるか、消されます。ドイツ料理のレストランでBGMがかかっていることはまずありません。若者が入る盛り場の居酒屋などはうるさい音楽で満ちていますが。
なぜ、音量が急に減るのか。ある町の中華レストランでは、「北国の春」が流れていました。今夜、さきほど行ったばかりのレストランでは、喜納昌吉「花 ― すべての人の心に花を」がかかっている最中でした。要するに、日本製音楽の、歌唱を除いた器楽演奏の部分だけがCDにされているのです。日本人とわかると、バツが悪そうに、「対応」がなされるのです。
今日は、お店の人も暇そうだったので、「対話」をしました。このレストラン、大学から歩いて7分くらいのところで、最近、新装開店したようです。2か月の滞在の最後を締めくくって?、初めて行きました。タクシーの運転手は、「あれはつぶれた店だ」と8月中旬に言っていましたが、このところ再開したようなのです。
で、お店の従業員は、中国の歌だ、と言い張るので、これは「沖縄の・・・」と説明したところ、素直に白状。中国で買ってきたCDだと。
よって、ドイツ人の方には、次第にアジアの歌が、国籍不明のままほぼ共通のものとして伝わっていきます。
先日、ドイツの公共放送ラジオを聞いていたら、日本の音楽としての紹介があって流れ始めた歌は、どう聞いても中国のものでした。
さて、ドイツ料理レストランでは、ありえないのですが、ギリシャ系の店では支払いが終わると2ccほどのシュナップス(Schnaps。アルコール度の高い蒸留酒。ただし、消化を助ける薬用酒のようです)が出てきますが、今日は、支払い後、2ccの梅酒が出てきました。これも、日本の梅酒と似ている、と思ったので聞いてみたら、正直に瓶を持ってきて、「チョーヤ」の梅酒であることが判明しました・・・(^_-)
それにしても、ドイツのジョッキやグラスにはたいていは、0.4リットル、0.5リットル、2ccというように線が入っています。写真の両端のグラスに、赤い2ccのラインが見えますでしょうか。左は、チップを払って東ベルリンの旧・東ドイツ警察官養成学校(今はドイツの連邦内務省の研修施設にヒアリングのために行った)の近所のギリシャ・レストランでもらったももの、右は、今日の中華レストランでチップをおまけして堂々ともらったもの。法学教師・弁護士が窃盗罪を犯すわけにはいきません。
でも、この2か月間の自炊で、大韓航空機から一時借りてきたナイフとフォーク、大変重宝しました。帰りの便では、ちゃんと戻しておかなきゃいけません (-_-;)
真ん中は、一昨日、正式にもらったシュパイヤー市のワイン・グラスで、市の紋章が入っています。紋章の反対側には、▲印が5つ並んでいて、ワインを入れる基準線になっています。しつこく、こだわっていますねぇ。
日本で生ビールを注文して、隣の人より何センチも泡の多いビールを持ってこられると、スネますね。法治国家のビールは、きちんとある線までは入っていなきゃ。日本のジョッキ・ビールは、泡池国家風?
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コメント
楽しい話題を有難うございました。
法律論など難しいのは、私には理解不能のところもありますが、本日の話題はドイツ国の事情・国民性がよく分かり、とてもおもしろく楽しめました。
有難うございました。
投稿: 松本佳久。 | 2005.09.23 08:01
木佐先生こんばんは。こちらでは初めてコメントします。
バイト先で生ビールをつくるときはほんと気を使います。(量もそうですが泡の質の維持が大変です。)
日本もビールの流行りだした昔は結構もめていたようですよ。恵比寿にあるサッポロビールの麦酒記念館
http://www.sapporobeer.jp/brewery/y_museum/
で一年位前に見た映像では、泡が入ってるなんて詐欺だ、と裁判沙汰にもなって、判決で「1割~2割程度の泡が入ってるのがビール」と判示されたとか、という情報があったように思います。なにぶんあいまいな記憶ですので、東京にいらしたときに是非お立ち寄りください。4種ビール飲み比べが400円でできたりして、なかなか楽しめるところです。
投稿: Kaffeepause | 2005.09.24 21:51
Kaffeepause さん、ビールの話、有り難うございました。ドイツ人が年間で一番多く飲む飲み物は、統計によると、ビールではなく Kaffee です。実際にドイツでシンポジウムをやっていて、各セッションが終わるときには、Kaffeepause を何時何分まで(あるいは、何分間)とります、と言います。ビールはビールで、奥が深く、始めると尽きないですね。日本の各ビールメーカーの製品についても一応意見を持っています。北大勤務時代には、サッポロビールの本社工場の直ぐ近くに住んでいましたので、北海道工場の工場長と、同社の工場直送の樽生ビールについて議論したことがあります。その中身は、ここではちょっと・・・。また、いずれかの折のためにとっておきましょう。サッポロビールが作られ始めた1876年は、私の最初の論文の中にも出てくる重要なプロイセン議会史上の年でして、忘れようのない年です。
投稿: 木佐 | 2005.09.26 18:31
Speyerではお世話になりました>木佐先生
C社の梅酒は、デパートのアジア食品コーナーでもよく見かけた気がします。日本ではあまり見かけない同社の日本酒もなぜかよく見かけました。
>一時借りてきたナイフとフォーク
いや、あれは本当に重宝しますね。
窃盗罪に問われたときに、この弁明は通用するのでしょうか(笑)。刑法を勉強したのはもう二昔前だからわからなくなってしまいました。しかし、帰りに返すか...プラスチックのナイフも?
>判決で「1割~2割程度の泡が入ってるの
>がビール」と判示されたとか、という情報
>があったように思います。
これですね>Kaffeepauseさん
http://www.sapporobeer.jp/library/c07.html
私がこの話を知ったのは、K村先生もかつて出演された某テレビ番組、というのは多少恥ずかしい話ですが....
投稿: かどまつ | 2005.09.27 01:58
木佐先生、お疲れ様です。
グラスの容量表示と目盛まで注ぐことは、法律で決まっているのですね驚きました(+o+)
自治ネタですが、先日の日経WBSで日本の「地ビール」に関する話題が取上げられておりました。「日本では麦の生産が少ないにも関わらず、麦を加工する機材が大型なため地元栽培の麦でのビール製造が難しい」とか、「補助金が打ち切りなって地ビール工場が潰れた」とかいう趣旨の話でした。
≫Kafeepause様(はじめまして)、かどまつ先生(お疲れ様です)
裁判沙汰とは「金返せ!!」という民事の話だと思っておりました…刑事事件だったのですね(T_T)
投稿: hideaki | 2005.09.28 07:19