弁No.44 台湾の司法改革(その9) 中央警察大學の院生の司法改革観
弁No.44 台湾に「国立中央警察大學」があります(英語版あり。法律部門のHPはこちら)。この大学は、日本の警察大学校とは異なり、日本で言えば文部科学省の所管です。この辺りも、今後、「法教育を考える」のシリーズの中で述べるように、台湾はドイツ的です。まぁ、先進国では、当たり前のことと言っていいのでしょうが。
で、このブログに書いた台湾の司法改革についてのコメントを参考に、この大学の院生ゼミで(当然、院生は全員が警察官です)台湾の司法改革に関して議論をしてくださったそうです。
そのゼミでの議論の最大公約数は、というと、「院生たちは大学を入る前に、台湾の司法はもうこうなっていますから、当たり前だと思っているようです。ただ、スイスの消防栓に興味津々です。」
う~ん。ガツン。
写真左は、この中央警察大學の正面。この大学内には、世界中の警官の制服などを集めた博物館があります(右)。
このブログの熱心な読者で、司法問題に非常に関心をお持ちの日本の某自治体の職員の方、40(30?)歳台ですが、「セーホーキョー(青法協)」と言われても、何のことかわからない、のだそうです。今、裁判所に入っていく新人裁判官たちも、すでに35年程度前の青法協問題など、知るはずもないですね。ちょうど、私が「大正10年前後の歴史を述べよ」と言われているようなものです。従って、私が書いた『人間の尊厳と司法権』であれ、監修した映画『日独裁判官物語』であれ、若い裁判官には、違和感をもつ方がかなりおられる、とも聞いたことがあります。
先人が苦労して開いた道も、すぐに当然のことになる。空気や水のようになってしまいます。歴史に学ばなければ、「今」の意義・意味はわからない。しかし、人々に、その暇はない。ジレンマです。
「権利」も血を流して勝ち取られています。ときどき、こんな絵も見直さなきゃ。ウージェーヌ・ドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」(1830年作)(ルーブル美術館は撮影自由です。20年前に行きました。インターネット上にはもっときれいな絵が載っています。あくまで自分の撮影分にこだわっているだけです)
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