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2005.10.13

行政・自治No.35 ミリタリー国家?

deutschice_fahrer_dsc_0499rhein_dsc_0621行政・自治No.35 日本は自由奔放な国のようにもみえますが、見えない規律は多いようです。東京・大阪間で、新幹線の運転手がで平常時で30秒遅れると訓練所に戻される、という話はもう充分でしょう。
 ドイツで見る、運転手や運転士は、実にのどか。私が暮らしていた町では、大型の定期バスの運転手はときにハンバーガーをかじりながら運転しています。バスに乗っていたある日、あと1つの停留所で大学の寮の前に着くというとき、運転手がバスから降りてスーパーマーケットに入っていきました。何か急な伝言とかの用事でもあるのかと待っていたら、ジュースを買って来て、再び運転を始めました。
 最高速のインターシティ特急列車でも、運転席への入り口を開けたまま、女性の車掌さんと話したまま運転しているヒトもいます(写真左)。
 ライン下りの船でも、船長が操舵しながら少年の質問に答えています。結構な数の船が行き交っているのですが(右)。
 一事が万事。こうした例は事欠きません。安全の点からは大いに問題なのですが、誰も、これを問題視していないようなのです。運転手・運転士は鉄道でも一般に私服です。車掌の車内検札も、車内販売員も、日本のような礼儀正しさ?はありません。相手を見て、シチュエーションに応じた言葉を話しますから、「普通」にみえます。
 もっとも、非番の乗務員や、検札を終えた車掌たちが、1等車の良い席に、客より先に座っているのにはあきれます。
 日本では、車掌が車内に入るたび、出るたびに、多くは帽子までとって、お辞儀をします。数分遅れてもいちいちお詫びの放送です。
 あれやこれやを考えると、日本社会は、本当に、ミリタリー的な規律で動いているように思えてなりません。
 そういえば、かつて「巨泉のこんなものいらない 最高裁!?」という番組で、ドイツ連邦憲法裁判所の守衛さんが、守衛室で勤務中にパンをかじっている様子が放映されていました。こうした執務状態が賞賛できるとも思えませんが、表面的に形だけ集中しているかのようにみえても、実質が伴わなければ、という感じがします。

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コメント

終点から折り返しのバスに乗ったときに、運転手さんがバスを止めるとアイスクリームを買って帰ってきて、ちょっとの休み時間の間、運転席で食べていました。「この運転手さん、これをいつも楽しみにしてるのかもね」と家人。ドイツのこういうところ―というより、ひょっとしたらその方が当たり前で、これが許されないのは日本くらいなのかもしれませんがーは大好きです。ただ、客あしらいはあまりにひどいのでは......

投稿: かどまつ | 2005.10.20 09:44

「表面的に形だけ集中しているかのようにみえても、実質が伴わなければ…」という最後の一文。私なりの言葉にすると、「フリは無益」といったところでしょうか。頑張っているフリ、真剣なフリ…物事の本質=根っこの部分が掴めない上に自己満足で終わってしまう。先生の面白い講義に対して「無益なフリ」で終わってしまうことの無いよう、今から教科書を読むことにします。

投稿: rin | 2005.10.20 20:08

かどまつさん。激務の連続、お疲れが出ませんように。「客あしらい」は、確かに悪いですね。本文で、1等車の「乗り占め(?)」で書いたようなケースですね。
rinさん。ご指摘の「読み」の通りのことを言いたかったのです。自己満足で終わってしまうという面と、世の中にも自分にも役立たないということと両方でしょうか。鋭い読みに感謝します。

投稿: 木佐 | 2005.10.20 23:28

はじめまして。ドイツの交通機関は私服なんですね。
私はJRの制服が苦手です。蒸し暑い日でも、制帽・ネクタイでホームにいる姿を見ると、気の毒になります。この気の毒さはJRの制服に限らず、初夏の学生服の詰め襟、酷暑の背広、などにも感じることですが…。まさに規律正しいフリ。

投稿: inuko | 2005.11.05 12:36

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