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2005年11月の記事

2005.11.26

実名ブログの怖さ

 ある方がお書きになっているブログに以下のような発言がありました。停止される気持ちがわかります。たった1行、あるいは、数文字の文字列も、まったく逆に受け止められたりすることさえあります。

>  最近、特に実名で日記を公開していることのリスクを感
> じている。
>  当然のことながら誰もが見ることができるわけであり、
> 中には、白紙の状態や好意を持って閲覧している人ばかり
> ではないのでマイナスの反応も覚悟しなくてはな
> らない。
>  そんなことを気にするくらいなら公開をやめた方が精神
> 衛生上いいのかもしれないが、このページでの情報共有を
> 期待してくれている方がいるのもまた事実である。
>  となれば、あまり突っ込まれるようななことは書かない
> 方が賢明かもしれないと思うようになってきた。
>  踏み込んだことを書けないのは残念だが、それがフェー
> ス・ツー・フェースでないネットでの意見表明の限界かも
> しれない。

 仮に匿名でブログを持っても、内容でいずれ書き手は判明しますしね。再開される条件が整うことを願っています。それにしても、ブログ閉鎖が多すぎますね。少なからぬ人が差し障りのないこと、ときに、本音でないことを書き始めるとどういう事態が起きてくるのでしょうか?

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2005.11.21

弁No.49 新人弁護士研修がまだ終わらない

弁No.49 私と同じく行政法を専攻されている学習院大学高木教授も弁護士登録をされています。同教授のホームページ 『高木光のライブ行政法」には、新人弁護士研修についてのコーナーがあります。
 実際に担当された国選弁護事件の「受任」から「報酬振込み」(額)までお書きになっています。研修としては、当番弁護士としての出動が2回、法律相談が2回(計5件)、委員会研修として仲裁センター運営委員会(傍聴)、倫理研修、日弁連集合研修、第一東京弁護士会集合研修、となっているようです。同教授が受けられた研修が以上ですべてだとすると、私の所属する福岡県弁護士会に比べると研修のノルマは、半分以下のようです。私の研修プログラムは、2005年3月9日付けのブログにある福岡県弁護士会の「研修プログラム」をクリックしてみてください。多くの座学研修のほか、国選弁護事件2件、当番弁護士2回、法律相談も4回(私の場合、計15件)、少年付添事件民事・行政訴訟などを2件、人権救済申立事件などもありますので、研修ノルマは一弁の2倍くらいありそうです。
 昨年の10月に始まった弁護士としての最初の国選弁護事件が、先週やっと結審になりました。無罪を求めて争ったので、5回の公判で、1年以上がかかり、最終弁論は、A4サイズで24枚にもなりました。法医学の教授にも出廷していただいたり、拘置所へは10回以上通ったり、準備して提出できなかったり、提出しなかった申立書、証拠調べ請求書なども数種類になったりと、いい経験をしました。この事件の後の国選弁護事件は1回で結審というものもありましたし、研修ではない弁護事件も経験しました。普通、簡裁の判決は、結審後2週間というのが多いようですが、判決の言い渡しは、なんと12月26日(月)、すなわち約6週間後に指定されました。裁判官も悩まれることでしょう。
 いずれ、高木教授のように、1つの事件を時系列的にまとめることができるといいのですが。
 研修としての民事事件は損害賠償請求事件の被告側でしたが、額にして8割勝訴したものの、控訴されたので、まだ係属中です。新人研修のうちの人権救済申立事件の割り当てがあったのは、8月頃。ちょうどドイツにいたので、対応できませんでした。したがって、今年の3月末までのはずであった新人研修は完全には終わっていないのです。

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2005.11.20

行政・自治No.43 「買収、戸別訪問・・・ご自由に」 そして、5人助役制

行政・自治No.43 これは、昨日、11月19日付の朝日新聞(西部本社版)朝刊の社会面トップの大きな記事の見出しです。夕方になって自宅で何気なく開いたら、自分のコメントが載っているではありませんか。そんなはずはない。宮崎県内版と思いこんで話したはずなのですが。話題性があるからなのか、九州(だけと思いますが)全域版になってしまいました。
 全国で3自治体しかないという「特別地方公共団体」としての「合併特例区」になる宮崎県田野町では、住民の直接請求により駆け足でできた住民投票条例に基づいて、 住民投票が実施されます。18日に告示されました。選挙運動期間は10日間。この選挙には公選法の適用がありません。記者の話では、総務省でも警察でも、一応は、「買収、戸別訪問」に制限はない、という見解とか。しかし、現実には、どう扱われるか、立候補者は心配でしょう。
 取材依頼の電話が入ったのは18日の夕方。公職の候補者が公選法に拠らずに、事実上の投票で選ばれる、というのは、かつての中野区教育委員準公選制くらいしかないでしょう。自宅にある資料だけで調べ始めて対応すること2時間半。以下のような進行で、最初は、県内版で11字×30行という話で進行していたのに、30分単位で、行数が縮められ、あれこれ話した重要な話はほとんどカット。何しろ、この投票で選ばれる方は、事実上、新・宮崎市の助役になるのです。新市は、助役が5人の体制に。この投票から助役選任に至るまでの過程には、実にいろいろな考慮事項があり、単に選挙運動の規制の話にとどまりません。
 今回は、現職町議とわざわざ町議を辞職して立候補した方の対決。論点が多すぎます。ただ、単に、現職町議の活動が公選法に触れるのではないか、といった視点だけでは問題ですので、憲法に立ち返って、民主主義の観点、立候補する方の権利の観点も要るでしょう。
  18:40 電話依頼
  18:53 取材情報ファクス(以下、ファクスのタイムスタンプです)
  20:00 30行バージョン
  20:45 24行バージョン
  21:15 16行バージョン
 かくして、2時間半強の拘束の後、なんと言うことのない談話ができ上がりました。誰でも言えるような話に収まって。新聞コメントをするたびに、子供たちから指摘されます。「お父さんの言っていることは、誰でも言えることだ」。大事な部分は、長い説明を要するので、大体はカットになったり、本文で使われてしまいます。1回の短いコメントにも相当の時間を取られます。

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2005.11.15

行政・自治No.42 この間、明るい選挙結果をあまり聞かなかったようなので・・・

行政・自治No.42
 ◆恵庭市長選開票結果
  当18,146 中島 興世 59 無新
    13,971 黒氏 博実 59 無現(自推)

 三重県、宮城県、ニセコ町、佐賀市(も入る?)・・・、その他の自治体もあるのでしょうが、ドミノ倒しのように「改革派」本人またはその後継者が首長選で敗退している状況。これらの自治体で、思考停止、安楽主義、守旧原理がはびこっていくような気配が広がるようでは困ります。「ホッと一息」という職員の方も多いでしょう。そして、合併した自治体の中には、湯布院(由布院)の「潤いのあるまちづくり条例」の迷走のように、「開発」との戦が待っているところもあります。
 そうした中で、この13日に、中島興世氏が恵庭市長選で当選されたことは、一筋の光明ともいえるものでしょう。この間、「あのノンビリした選挙事務所じゃぁ」と何人もの方が言っておられたのですが、最後には爆発的に支持者が増えたのですね。選挙運動最終日に恵庭市を快速電車で13時頃に通過しました。駅の前ではオレンジ色で染まった集会を瞬間的に見ましたが、どちらの候補者側の集会だったのでしょう。私が出会って話をした方々は、すべて中島さんの選挙のことを心配していました。
 開票の時間には、すでに九州に戻ってきて、選挙速報をWEB上で見ていたのですが、結果がわからず結構、いらいらしました。
 23時20分頃、当選確実を知りましたが、おそらく22年来の旧知の方が市長になられたという感慨よりも、今後の日本の地方自治そのものに与えるであろう期待がはるかに大きいです。
 ご本人からは、投票日の朝9時に、

> おかげ様で、なにも思い残すことのないさわやかな朝を迎えることができました。

 というメールをいただきました。その通りに、投票日は、明るい青空が札幌から千歳の間に広がっていました。きっと天も味方したのでしょう。

 1993年(平成5年)の選挙のときには、有権者の3分の1が自衛隊関係票だったようですが、今回は、4分の1ということです。こうした状況のところでの圧勝は、現在の国内情勢を考える限り、非常に稀なことでしょう。ご本人の長い蓄積の賜物です。ちょっぴりは、全国からの支援も意味があったかもしれません。
 どう考えても、今後の道は平坦ではないでしょうが、ご活躍を祈念します。

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2005.11.12

弁No.48 無罪判決を書くための能力

弁No.48 あくまでも一般論としてですが、ある裁判官から、特に単独裁判官として判決が行われる場合に、「はたして無罪判決を書く力量がある裁判官かどうか、また、仮に有罪判決でもどこまで合理的で説得力ある補足説明が書けるかどうか」が問題であるという話を聞きました。
 よく、無罪を書く方が論理的に完璧でなければならない、と言われますが、それが「推定無罪」の原則とは、まったく逆転していることは周知のことでしょう。
 現実に、無罪か有罪か、いずれの判決になるのかという問題に直面している私にとって、この「推定無罪」の原則が、いかに高い壁であるのかを実感させられる言葉でした。弁護士の方から見て無罪判決を得る方が能力を要するというのは知っていたつもりですが、裁判官としても無罪判決を書くのがいかに大変なことか、改めて認識した次第です。

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2005.11.07

行政・自治No.41 ある市町合併(その2)

行政・自治No.41 知人から頂いた合併劇メールの第2弾です。ご本人の校閲を得たうえのものです。まじめに働いている職員の努力は、どこで報われるべきなのでしょう?

―― 引用 ――
 合併後の初の臨時市議会を2日間の日程で終えました。

 初議会ですから、暫定予算を20本、条例専決処分300本などの報告案件、ほか助役、収入役などの人事案件を提出いたしました。

 議会人事で、2日近く紛糾し、執行部から提出した案件は、まったく質問もなく、委員会に付託されることもなく、承認されました。議案がそのまま、なんのおとがめもなく通るのですから、提案者側として歓迎?すべきことなのですが、議案提出に当たった課の職員の「あんなに苦労してゴミだけを作ったようですね」という言葉になんと反応していいのか困ってしまいました。

 ちなみに、議案は、幅5センチくらいの冊子が4冊になりました。
 印刷は、庁内印刷所で3冊分をこなしましたが、機械に無理をさせすぎ、印刷継続が困難となり、民間印刷所で1冊分を徹夜処理をし、100万円を超えたようです。
 もし、すべてを外注していたら、議案作成だけで400万円を超えることとなります。

 できあがった、条例の専決処分書は、施行規則など含まれていませんから、実務的な利用は困難です。たぶん、古紙回収に近いうちに回ることとなります。

 新聞写真で不鮮明とは思いますが、議案書を議場に持ってきた議員はいなかったようです。
―― 引用、おわり ――

 この議会の実態、わかる、わかる。予算書だって、使うためにあるのではなくて、作るために作っているのかも。

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2005.11.06

行政・自治No.40 政治活動が少し自由になって

行政・自治No.40 今日、11月6日、恵庭市長選が告示されました。告示直前の昨晩の23時58分に送った中島興世候補宛てのメッセージが、同氏のホームページの応援メッセージの8「全国の方々」のところに載っています。2004年4月以降、国立大学法人の従業員になって、ほんの少し、政治的自由が保障されるようになって可能となったメッセージです。

 私は、「協働」とか「マニフェスト」とか、誰もが口にし出す段階になると、少し斜に構えるところがあるのですが、中島さんのマニフェストは、一見・一読の価値があります。このような「お約束」をする首長のもとで暮らすことができるとすれば、住民は幸せでしょう。

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2005.11.04

行政・自治No.39 ある市町合併(その1)

行政・自治No.39 親しい知人からメールが届きました。
 
 「A市は、この秋、B町、C町と設合併しました。合併にあたり条例300件、規則300件など十分なチェックもできないまま、施行することとなりました。法務経験のある職員を5人も動員して当たりましたがだめでした。合併協議は、法的視点が抜け落ちているものがほとんどで、合併1,2か月前に条例をはじめて見て調整したなどというものばかりでした。
 合併GHQを置かないこの2つの町は、ここ1か月合併記念のお祭り騒ぎで、連日の酒盛りが続いていたそうです。」

 このメールで思い出した私自身の(別の合併事例に関する)最近の経験です。合併して大規模市の一地域になる某町では、合併に関する大ホールでの講演会の当日に、町長や総務課長ほか数名の職員以外は、ほぼ全員が、職員慰安旅行でノンビリと船に乗って遠隔地で宴会。合併すれば、合併先の大規模都市と同額の給料になるというので、職員はただただ思考停止状態となり、合併の日と、最初の給料支給日を心待ちとか。合併後に、自分の町(地域)が将来どうなるか、ほとんど誰も考えていないかのようでした。合併に伴う「自治体法務」など、「想定外」のことなのでしょう。
 上記メールには、続編があります。

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