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2006.02.11

行政・自治No.47 町議会で出訴を否決された損害賠償請求事案の町による出訴

行政・自治No.47 昨日、2006年2月10日の18時半頃、RKB毎日放送で、この件についてコメントしました。今回の放映は、同放送のホームページでは文字ニュースも動画ニュースも載っておりません。

 かつて財政再建団体となったことで有名な福岡県赤池町で、前町長に対する6000万円以上の損害賠償請求訴訟の提起をする町側の議案を、議会が否決しました。地方自治法の常識的解釈によれば、町は出訴できないことになりますが、汚職による出直し選挙で新町長が選ばれ、町として前町長に対して損害賠償を請求することになったのです。この町は、まもなく合併します。そこで、常識的な法令違反解釈を承知の上で、町の新(現)執行部は、損害賠償請求訴訟を2月10日午後に提起しました。

 そのような訴訟を簡単に違法と片づけられないと私は考えています。

 放送の中で利用された私の発言部分は、(1)違法行為の後に選出された町長と彼を支持する民意と、元・町長、さらには議会多数派の意見が、法的観点から見て、一致しているとは限られないこと、という部分程度でした。

 ただ、録画の際には、(2)法定局部制、議員定数、地域自治地区、助役・収入役の設置などを初めとして、最近では、地方自治法上の多くの定めが、一種の枠法化していること、(3)およそ自治体が不服審査請求や訴訟の提起の際に、事前に議決を求めていることは、確かに自治体の意思を確定する上で意味があるが、法的解釈上の争点を一律に政治の領域に委ねて良いか、(4)さらに年4回しか開会されない議会での議決を経なければ提起できないのであれば、損害賠償請求はともかく、60日の不服申立期間や旧来の3ヵ月の行政訴訟出訴期間(旧規定)では現実に時間的に対応できないこと(仮処分申請などもってのほかということになります)、(5)(今回は額が大きいが)些細な争訟まで議会の決定の必要があるかどうか。以上のような事態は、すべて今回の司法改革の文脈でも見直される必要があり、今回の議決を経ない(議決で否定された)出訴が、無鉄砲なものと言い切るのは尚早ないし胆略的であるという意見を述べておきました。

 以上の録画は、事前の電話での調整を別にすれば、撮影準備から録画終了まで10分間でした。赤池町の元・町長らによる一連の不祥事などについては、「福岡県赤池町」で検索すると、記事がかなりヒットします。
 昨日は、朝7時半から動き始めて、長時間の仲裁手続などもあって、昼食は午後5時でした。こんな生活でいいのかどうか。

 さらに、ちなみに、ADRとしてもてはやされている「仲裁」制度なども、「人」を得なければ新たな司法被害が生まれそうです。何しろ、上訴の機会がありませんから。
 

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