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2006.03.23

弁No.60 韓国の権利救済制度で、また打ちのめされてきた

弁No.60 1週間ほどブログが開きましたが、この間、韓国のある私学の創立60周年記念講演に招待され、お話しをする機会に恵まれました。この1年度は、ドイツの財団から2ヶ月間滞在招待、ドイツの大学から1週間のシンポジウム共催による招待、台湾の司法院(憲法裁判所)からは国賓として5日間の招待を受け、年度の締めくくりには韓国からも招待をしていただくという、自分にとっては例外的に大きな「国際年」でした。

 何度も行っている韓国ですが、それでもショックは大きかったです。立ち並ぶ高層マンションの1戸当たりの平均延べ床面積が33坪くらいであると聞いてまずは軽いショック。街中の自動車もずいぶん立派になりました。

 わずか半日しかなかった平日には、プサンの裁判所を訪れ、行政事件も扱う法廷の中まで入れていただき、全口頭弁論が録画され「情報公開」制度によって、後から誰でも画像を見ることができる、ときいて、韓国では単なる刑事捜査の「可視化」が進んでいる、と思っていた私の頭はガツーンと殴られた思いでした。こういう録画システムがあれば、私が日本で頑張って無罪を争った国選事件など簡単に「えん罪」事件であることがばれるでしょう。

 プサン市役所で聞いた合議制の不服審査制度、とりわけ7名で行う公務員の不服申立事件の審査委員の過半数以上が大学教授や弁護士で占められているという事実は、今でも日本で行政不服審査法の改正の必要はないと言っている中央省庁の官僚や一部研究者との感覚の違いを顕著にするものでした。この落差は言葉にできないほど大きなものになっていると実感したところです。

 実際、一自治体職員が、不服審査で試験の採点のあり方を争点として最終的には次々と勝利を収めてきた――今、日本で私がその職員の指導教員をしているのですが――のと比較すると、日本の現状は何なんだろう・・・と、深く考えさせられます。そうした職員を、プサン市の副市長が自主的勉強会を通じて精神的に支えていたとは。夕食をご一緒できたその(当時の)副市長も物静かな紳士でした。

 日本の官僚制の研究、行政不服審査制の研究は、相当、原始的なところから再検討されなければならないと、改めて肝に銘じているところです。そして、アジア各国から日本で学位を取るために来ている方達に、「日本」は教えて差し上げることがあるのかしら・・・・という不安。

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