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2006.04.24

行政・自治No.49 「日本の行政組織には記憶(力)がない」(山口二郎)

行政・自治No.49 これは、北大の山口二郎教授が、(北海道)地方自治土曜講座の講義の際に述べた言葉です。薬害エイズの資料が厚生省で後から出てきたような例にとどまらず、およそ短期間で官僚・職員が次々と異動し、しかも、できごとを文書として記録にとどめず、仮に文書があっても記録をきちんと整理せず、引き継ぎもしない官僚風土を、当時同僚であった同氏が、表現したものです。私の記憶には、このフレーズが鮮明に残っています。的を射ていて名言だと思います。最近、ご本人に、「活字になっていれば引用したい」と尋ねたら、出版物の中には同一の文言はないとのことです。

 同氏の『日本政治の課題』(岩波新書、1997年)の96ページに、「日本の官僚制には歴史がないという叙述があり、中身としては同じ事なので、引用される際にはこれをお使いください。」ということですので、同じ趣旨で、引用させてもらいます。

 そうした行政組織の記憶喪失現象は無数にありますが、最近、また経験しました。総務省の行政管理局企画調整課行政手続・制度調査室の責任者の方から、直接、『行政不服審査制度研究報告書』が送られてきました。研究会の8名の委員中、6名までは面識のある方です。委員は確実に若い世代の方々に移っています。

 ただ、お送り頂いた方のメールを拝読していて不思議な気がしてきました。10年前の1996年に当時の総務庁で行政不服審査制度の見直しのための研究会がすでに開かれており、私自身が、「日本の現状に照らして見るドイツの行政不服審査」と題して、おしゃべりにも行っているのですが、その時に検討・議論したことは、どうやら今回の検討につながっていないようなのです。あるいは、資料として配付でもされているのかもしれませんが。

 行政不服審査制度の見直しが始まったのは行訴法改革などとの関係でも必然ではありますが、これまでの議論、しかも、総務庁・総務省での議論の蓄積も仮に活かされていないゼロからの出発であれば、国民は、税金を戻せ、と言いたくなるでしょうね。その都度、一から検討する、ということがないように祈りたいものです。

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