議会による政策法務―「意見陳述人」(2)
2006年5月22日のブログの続きです。地方議会委員会における「意見陳述人」の制度に対する反対論は、どういうものなのでしょうか。要約すると、次のようです。
「第三者を委員会に出席させ、発言させることができるのは参考人又は公聴会に
よる場合に限る」のが地方自治法第109条の趣旨であり、「意見陳述人」は「法
律の限界を超えた制度」で、「これに基づく支出は違法、不当な支出」との評価を
受けるおそれがある。このことは、平成3年までは公聴会以外では、委員会に第
三者を出席させることができず、また、条例で法律を超える制度を設けられないの
で同年の地方自治法改正により参考人制度が追加された、という経緯からみても
いえることではないか。
というものです。参考人という制度がやっと近年認められたのだから、それ以外の制度で議員以外の者が意見を述べたり、討論に加わるのは違法であり、いわんや、金銭的に優遇する(?)条例上の制度は、国の法律に違反する、というわけです。次回に、熊本市議会の13名の議員の連名で提出された「提案理由説明」を取り上げることにします。
改正案は、次のようなものでした。熊本県総務部と熊本市執行部は、違法説と聞きました。そもそも、地方議会は、憲法で保障されており、地方議会は、地方自治法に書かれたこと以外のことは、本当にできないのでしょうか。地方議会の役割をどう見るか、が問われます。もっとも、地方議会無用論もあるほど議会への批判が多いことに留意する必要はあります。議会の「政策法務」という観点から、どう評価すべきでしょう。
熊本市議会委員会条例
第5章の2 意見陳述人
第30条の3 委員会は、調査のために必要があると認めるときは、当該調査に
関する事項について高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有する者の
出席を求め、当該知識経験等に基づく意 見を聞くことができるものとする。
2 前項の規定により委員会に出席し、意見を陳述する者(以下「意見陳述人」
という。)には、その旅行に要する費用として、熊本市職員等の旅費支給に関
する条例(一部略)を準用する。
3 前項に定めるもののほか、意見陳述人に対しては、当該意見の陳述につい
て、1時間までごとに7,500円(一部略)の範囲内でその都度定める額に基
づき算定した額の対価を支払うものとする。
4 (略)
| 固定リンク
「自治体法務・政策法務」カテゴリの記事
- 北海道ニセコ町 まちづくり基本条例 制定・施行20周年(2021.12.30)
- 『新訂 自治体法務入門』 を刊行しました。(2016.09.04)
- 台湾の行政不服審査の現場: 日本でも(新)行政不服審査法が施行されるが・・・(2016.01.29)
- 『任期付き弁護士の自治体勤務制度は、世界で普遍的?(3)(2016.01.28)
- 『任期付き弁護士の自治体勤務制度は、世界で普遍的?(2)(2016.01.28)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント