私の手元には、1998年以降2001年頃までの年2回のボーナスについて、経済学部、教育学部・大学院人間環境学府、大学院人間環境学研究院、人文科学研究院、法学部・大学院法学研究院、工学部の教授、助教授・講師、助手が受けた成績優秀者の人数(実員に対するパーセンテージ)のデータがあります。他学部では助教授や助手も優秀者に入っています(法学部執行部によれば、他学部では高年齢の助教授・講師・助手がいるからであるという説明を受けました)。法学研究院は、2000年に助教授が2名が該当した以外はすべて教授。そして、私は久しく(おそらくは、まったく)この栄誉に浴することがなかったために、その理由を研究院教授会で公開するように求め、後の教授会で以下のように説明がなされました。
「第59回研究院教授会議事録
日時 平成16年4月14日(水)午後2時30分~3時50分
場所 法学部大会議室
3 研究院長から、平成15年12月期における勤勉手当に係る成績率の査定に当たっては、勤務成績が優秀な者及び勤務成績が良好な者との基準があるが、教員の研究・教育活動には立入らず、各種委員会委員長等に係る行政事務活動の繁忙さを評価した旨の報告があった。」
要するに、研究院長(法学部長)ら執行部は、各教員の研究・教育の内容を評価することができない ので、評価自体をしやすい行政業務に就いている教員に(のみ)、「優秀」の評価を与え、高いボーナスを支給しているとのことです。現在も、優秀者は20%、残り80%の教員が「良好」ということになっているはずです。
この基準であれば、いくら研究と教育に頑張っても、ことボーナスに関する限り、完全に無駄な努力です。最近採用された若手の助教授は、このことすら知らないのではないでしょうか。行政業務に多忙な教員は、(1)論文を書きたくても書く時間がないし、副収入を得る機会も少ないからせめてボーナスでも、という発想なのか、(2)本当に、研究者の研究・教育の内容が評価できない、と考えているのか、判然としません。表面上の理由は、後者(2)です。優秀な若手教員が去っていくのが心配です。
人事院と総務省人事・恩給局に問い合わせましたところ、九大法学研究院の運用は、「それが事実なら違法」だということです。
教授会議事録は、コピーさせてもらえませんでした。何回か事務室に通って手書きで写しました。
少なくとも、我が研究院(学部)の場合には、このような成績主義差別支給制度は、ない方がいいでしょう。私は、本当の成果主義に基づく一定の差額支給はあってもいいと思っており、その場合の基準や該当者選抜方法についての提案も執行部にしましたが、却下でした。
他大学では、どのような基準で教員のボーナスの評価がされているのでしょうか。大学における成績主義評価の実態が、このようなものであることについて、世間で知っていただきたいのです。
九大の成績主義による勤勉手当が、法的に(就業規則上では)どう表現されているかについては、次に載せましょう。
次回には、リクエストでもあれば、法学研究院教員の特別昇給の基準に関する教授会議事録も載せましょうか。