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2006.10.13

行政・自治No.62 「合併の心労 休職の増加」

行政・自治No.62 2006年10月8日付けの朝日新聞・西部本社版の社会面記事タイトルです。
 吸収合併に近い合併が行われたところでは、A市で全職員の1.6%、B市では1.3%心の病による休職者であるということです。休職者のほとんどすべてが吸収されたように見える自治体の職員です。
 この問題は、実に根の深い問題で、まさに、日本の自治体があまりに「内部自治」を行使、あるいは実現しすぎているため、他の自治体における仕事の仕方になじめないからでしょう。本当は、吸収した大規模な自治体の方が、全体として間違ったやり方のこともあるでしょう。
 公務員のほぼ全員が、いつでも他の自治体や組織で働く用意のある国では、仮に合併があっても、合併ストレスで休職ということは考えられません。
 まさに、独自の仕事のスタイルを確立している日本の各自治体が、他の自治体の仕事スタイルを知らないためにこうした現象が起きます。当面は、小規模な被吸収自治体職員が弱い立場で、メンタル犠牲者になっていく構図です。
 そもそも、流動性の高い公務員人事市場ができていたら、あるいは、スイスのように、官公民を問わない人事市場があれば、こうした悲劇は起きようがないのです。合併に伴う悲劇はまた別の形でもあるようで、今後考えていきたいと思っています。

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コメント

件の記事を見ていないので、それについて批評はできませんが、突出しているとはいえないのではないでしょうか。
「北海道は広域自治体。転勤に伴う単身赴任などでの負担も多く、ほかの都府県と比べ精神障害での休職者が多い」職員数約1万9,000人を抱える道庁知事部局では、昨年度、メンタル面の疾患で1カ月以上の長期療養を強いられる職員が408人に達し、1年の病気休暇を消化してもなお職場復帰できない休職状態の職員が198人に上った。」との記事があります。(北海道新聞では、札幌市や北広島市の職員における精神疾患者の急増がよく報じられています)
なお、2002年度までと、少し古いのですが、地方公務員災害補償基金のHPから、職員10万人当り主な疾病分類別の長期病休者率(10万人率)の推移を見ることができます。
http://www.chikousaikikin.jp/boushi_H16/toyama-city/d-toyama2.pdf
とにかく、職員の0.5パーセント以上が精神疾患によるもので、かつ、精神疾患者の数がうなぎのぼりに上昇しています。合併が心労を増やしたことは感覚的には否定しませんが、メンタルヘルス問題はより別の問題も背景にあると思います。

投稿: 田中孝男 | 2006.10.14 02:00

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