悲しい計算 2話(その2) 旧規定を「墨守」する・・・
今回、科研費で招聘した(その1とは別の)某国の2名の研究者については、(その1)と同様に、年齢の上下とは逆転した旅費算定が行われていることがわかり、またもや、事務当局との「対話」が始まりました。「九州大学旅費取扱細則」は以下のようになっている、とコピーを持参して説明がありました。
第4条
(8)国会議員又は国会議員であった者については、一般職基本給表(一)の11級の職務にある者に支給する旅費
(9)公立及び私立の大学の教授若しくは学識経験者又は公社、公庫、公団等政府関係機関及び民間団体(その設立について法律に規定があるものに限る)の役員及びこれに準ずる者で大学卒業者(卒業後25年を経過している者に限る)及び短期大学卒業者(卒業後30年を経過している者に限る。)については、これらの者を講師として旅行を依頼した場合は、一般職基本給表(一)の11級の職務にある者に支給する旅費
この基準に従い、年齢の若い教授は最高額の旅費、キャリアも長くてヨーロッパで博士の学位を取っている主任研究員はそれよりかなり低い金額の旅費が算定されました。
また、この(8)号の基準でいくと、国会議員が、例えばわずか数か月だけ登院しスキャンダルで失職した場合でも、終生、最高額の旅費を九大から支給されることになります。
これはあまりにおかしいので、大学本部の法令審議室に具体的に条項を示して尋ねたところ、連絡時したのは夜も遅かったにもかかわらず、翌日には、法令審議室からではなく、旅費の担当係から法学研究院にも連絡があり、私ども科研費グループが「適用」されていた上記条文はすでに旧規定であることが判明しました。どうやら遅くとも2005年4月1日に改正規定は施行されていたようです(下々では、各条文の改正経緯はわかりません。そこまで聞いたら逆恨みされそうです)。
規定改正の通知は、全教員宛にしばしば一斉メール配信できますが、旅費規程のような「些末な」規定は教員には知らされていません。聞こうとすれば嫌な顔をされるのが通常でしょう。ですが、今回の対応は迅速でした。
ともかく、結果として、来日された教授達には同額の旅費を支給することができました。これまでも、学外から研究者等を招聘した場合に、旧規定を適用され、本来は迷惑を受けていた教員もいるはずなのですが、誰も気づかなかったのか、おかしいと思いながらも従ってしまっていたのか、誰も問い合わせをすることさえしなかったようです。このようなケースは続出します。
以後も、おかしなケースを取り上げます。枚挙に暇がない、とはこのことです。科研費制度や学内のシステムのおかしさ、あるいは、異常さを問おうと思います。誰もが違法なことや不当なことに従順過ぎますので、いまや体質的に麻痺していると思います。
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コメント
はー、えらいおいこまれてますねえ。
ベンフォードの法則にあわないデータなんぞ解析の役に立つわけありませんから、まあ、いい加減に入力してからだをこわさんようにしてください。
投稿: madi | 2007.05.27 03:54