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2007.03.13

弁No.70 タイの裁判官の「環境法」研修(1)

 タイから現在25名の裁判官と数名の随行者が九大法学研究院に来て、日本の環境法の研修をされています。3月3日に来日され、5日(月)から講義などが始まりましたが、私は最初の3日間を担当することになりました。

 この研修は、タイの最高裁と九大側との協定を結んでのもので、2月には最高裁長官らが来学され、大学本部も訪問され、法学研究院で正式な調印が行われています。

 今回は、25名ですが、5月には第2陣が20名程度来学されます。計45名の裁判官は、研修応募者400名以上から選抜試験に合格した方だけです。10倍の競争率でした。最高裁判事グループ、高裁判事グループ、地裁判事グループ、もう一つのグループ(正確に聞き取れませんでした)の4グループから選抜されているのですが、事前の試験問題は共通だったそうです。大きな1つの問題群は、環境そのものとタイの環境法に関する知識、第2は、日本についての知識だったそうで、日本の民主化の度合いとか、「福岡は、琉球にある」などの○×式試験だったそうです。

 今回の受講者には4名の最高裁判事のほか、高裁判事や長官などがおられましたが、最高裁判事でもこの研修派遣のための試験に落ちた方がいましたか、と聞いたら「もちろん、何名も」。そして、全国で10ある高等裁判所には環境部が1つずつあり、その部長判事も受験されたそうですが、合格したのは1名だけ。その1名ともお話しできました。

 こうしてみると、裁判官の人事の公正さがわかります。タイでは、すでに知財裁判所などもあるようです。また行政裁判所はあるが、今回は来ていない、行政裁判官は若干保守的である、といった率直な話も聞けました。いずれ、タイに、環境裁判所を作ろうとされているようで、そのための研修という側面もあるようです。

 研修は、平日で10日。滞在期間は、計17日くらいになるのではないでしょうか。終始非常に熱心で驚きました。

 3日目には、私の発案で、私自身も関与している許可取消処分が争われている産廃施設諫早湾干拓地の視察に行きましたが、産廃施設の会議室での質疑も極めて熱心で、応対していただいた社長始め会社幹部の方も、これほど熱心に聞いて頂き、質疑がされたのは初めて、とおっしゃっていました。

 全編、パワーポイントを用いての講義でしたが、私自身も、学ぶことも多い機会となりました。事前にタイの法律に関する資料を集めてもらおうとしたのですが、邦語文献ではひとつも事前には参考になるものがありませんでした。今後の課題ですね。

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コメント

ラジオタイランドのニュース内容は以前は法律フォーラムにアップしていたのですが、2005年に法律フォーラムがなくなってからはやめております。タイの法律はかなりユニークな混淆をしているようですので、立憲君主制の国どうし比較法はさかんなのだと思っていましたが、日本語文献がそんなに貧弱とは驚きました。今後の発展を期待します。

投稿: madi | 2007.03.13 21:18

タイには1999~2000年にスタディツアーの随行や調査で3度訪れました。が、当時はタイ北部の高知民族の野焼きが行われており、現場を見て愕然としたのを覚えています。しかし、なぜそういうことになるのかという話を聞くと日本が関わっているではないですか・・・。

こういう話です。
「タイ北部の高知民族はラオスなどから入ってくるため国籍を有せず、平野(農村)部では生活することができず、山地にとどまらざるを得ない。日本の商社が高い値で生姜を買うというので山肌を焼いて生姜を作っている。生姜は地力を非常に使うので連作ができない。しかも商社は豊作のときに大量に安く買って塩漬けにして貯蔵するので毎年安定した収入を得られるという保証はなく、高知民族は現在の生活から抜け出せないでいる・・・。」

生活環境分野にまで話が及べば、バンコクのスラムは悲惨な状況です。NPOが支援にがんばっていますが、現在も状況は好転しているとはいえないのかもしれません。スラムの子どもたちの一番の願いは教育を受けて学校の先生になりたいというものだと聞きました。

「先生」・・・夢が叶えば良いなあと思います。
ということで、こんなことをやったりしています。
http://yutaka2much.com/modules/kapp/

投稿: naito | 2007.03.16 11:53

madi さん、naito さん、コメント、有り難うございます。今夜は、タイの裁判官の研修最終日、そして私主宰の国際シンポの終了日で、前者では裁判官から福岡のタイ料理店で招待を受け、後者では懇親会の主催者で、掛け持ちで動いていました。例えば、タイの行政手続法制定にあたって、知人のドイツ人教授や助手らがタイをしばしば訪問していましたので、ドイツ法の影響が大きいだろうと思っていましたが、できあがった法律はフランス法とイギリス法の影響が強いそうです。しかし、ややドイツに似た憲法裁判所があります。理解は難しいですね。naito さんのお話は、暗い部分のご紹介ですが、今回の研修をきっかけにさらに視野を広げなければならないと思いました。明日は、中国の教授らと自治体法務・政策法務の現場視察付きの宿泊旅行です。今夜は、この辺りで。

投稿: きさ | 2007.03.17 01:49

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