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2007.05.19

弁No.73 生まれて初めてソープランドに行きました

070514soupeland_1弁No.73  同じメーリングリストに入っている弁護士さんが、かつて、仕事上、こういうところに行かれたようです。

> From:
> Date: Wed, 22 Dec 2004 18:12:52 +0900
> To:
> Subject: Re:
> 先日、傷害事件を起こした少年が以前ホストクラブで働いていたという
> ので(19歳なので風俗営業法上の問題はないということもそのとき初め
> て確認)、当然ながら生まれて初めてホストクラブをのぞいて見ました。
> いわゆるイケメンはいなくて、ナルホドもてるか否かは顔じゃないなと感
> 心したりする勉強もしています。

 私は、数日前、生まれて初めて、ソープランドに行ってきました(この写真に載っているお店ではありません。念のため。これはソープ街の入り口の看板。)。地元警察署に聞いたら、ソープは中州に100店舗あるそうです。残念ながら(?)、「消費者」としてではなく、債権回収です。早い話、若い男性従業員が、「明日から来るな。今月分の給料も払わないからな」という一言で賃金を支払われず解雇されたというもので、未払い賃金と解雇予告手当を取りに行くという仕事です。たまたま、その依頼者の父君が、留置場から私を私選でお呼びいただいたという縁故関係によるものですが。

 事前に1週間もかけて、社長と和解額について交渉済みであったため、受け取るだけのために行ったのですが、一応、それでも万一に備えていろいろな事前対応はしてから。

 ソープランドの待合室に案内され、15分か20分待つことに。社長が出てきて、金銭の受け渡し、用意してあった領収書の交付もすぐに終わりました。ここからが、教訓。

 このソープ。チェーン店が2つや3つではない大規模なもの。ホームページも立派で、中州でも有名なのでしょう。問題は、このお店でも、早朝から翌日の早朝まで営業していますから、男女の従業員は250名から300名はいるのではないでしょうか。彼らの入れ替わりも激しいはずです。ところが、社長は、労働基準法の「ろ」の字もご存知ありませんでした。労働条件の明示、解雇制限、解雇予告、退職時の証明、7日以内の賃金支払い義務、それらの多くの条文には刑事罰があること・・・すべてご存知ではありませんでした。
 ひょっとすると、過去、数百人の従業員は、賃金も支払われず、放り出され、何の法的保護も受けることなく泣き寝入りしていたのではないか。社長は、初めて法的権利を行使した青年に呆れていたようですが、本来は、呆れる方と呆れられる方が逆転しているような。

 決して、弁護士過疎地域でのみ、事件が埋もれているわけではないのですね。大都会で新人弁護士が法律事務所に就職できないという話が広がっていますが、日本中に法の手助けを必要とする人は多いでしょう。

 さて、待合室には、「入浴の心構え」をを書いた紙が。「衛生用具を着用しない者には、罰金100万円を請求する」とありました。売春防止法って、日本にあるんですか?

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コメント

>して、弁護士過疎地域でのみ、事件が埋もれているわけではな
>いのですね。....日本中に法の手助けを必要とする人は多いで
>しょう。
考えさせられました。そのニーズがなかなか需要として顕在化しないことが問題の背景なのでしょうね。

>「衛生用具を着用しない者には、罰金100万円を請求する」
この張り紙の法的効力如何、って、一昔前の試験問題になりそうですね。

投稿: かどまつ | 2007.05.19 06:56

事実認定の基礎の基礎を昨日勉強してみて感じたことですが、当事者が―有る意味、「合理的」の内容が自分とは大きく異なるかもしれない当事者が―「合理的」に行動したらどうなるか、という視点を持ちなさい、というのがポイントなのかな、と思いました。つまり、想像力がどうしても必要になる、と。
今日のソープの労働関係の話というのは、多くの弁護士にとって「想像」が及んでいない世界であるのか、はたまた被害者である彼らが法的な手助けを求めることが出来るということ自体が「想像できない」ことであるのかはわかりませんが、いずれにしても不幸なことです。

投稿: Kaffeepause | 2007.05.19 07:22

>当事者が―有る意味、「合理的」の内容が自分とは大きく異
>なるかもしれない当事者が―「合理的」に行動したらどうなる
>か、という視点を持ちなさい、

たぶん、専門法曹だけでなく、社会関係一般に大事なことだと思いますけどね。職場内・ギョーカイ内でもディスコミュニケーションを感じることがしばしばありますから(笑)、そのときは想像力の発動が要求されます。とはいえ、全く違った社会での「合理性」を理解するには、さらに高度な想像力が要求されるのでしょうね。

その上で、
>社長は、初めて法的権利を行使した青年に呆れていた

社長さんにとっての「呆れる」感覚をまず理解した上で批判・対決すべきなのか、そもそも理解する必要がないのかは、議論の余地があるところかもしれません。私は前者に惹かれますが、「理解」と「是認」の境界線は難しいでしょうね。

投稿: かどまつ | 2007.05.19 10:26

コメント、有り難うございました。
>多くの弁護士にとって「想像」が及んでいない世界であるのか、はたまた被害者である彼らが法的な手助けを求めることが出来るということ自体が「想像できない」ことであるのかはわかりません・・・

これは明らかに両方ですね。

>社長さんにとっての「呆れる」感覚をまず理解した上で批判・対決すべきなのか、そもそも理解する必要がないのかは、議論の余地があるところかもしれません。

 私は、まず、前者の問題、すなわち社会一般で法の認識が欠けていることから出発しなければならないと思っています。そのことから書き始めると夜が明けそうですから、とりあえずは、コメントのお礼ということで、失礼します。今回の債権回収は、事務所に入る報酬がいかに低いとはいえ、現実の労働現場の法現象のいったんを垣間見たという意味で、価値あることでした。ロー・スクール学生にとっても十分な教材になっています。(講義で学んで、木佐の現場主義を見習い、実地見学に行ったかどうか・・・)

投稿: きさ | 2007.05.21 01:31

そこにいたこと事態が世間体としてかっこわるい業界の場合、紛争を公的機関にまかせるという発想はなくなります。このへんについてはむしろ世間智の問題になってきます。
九州はなんというか中世が残っているようなところがあって、民事介入暴力対策をするについてもとくに注意が必要な地域だ、というのが全国的な認識のようです。

投稿: madi | 2007.05.31 03:22

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受信: 2007.07.31 16:53

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