行政・自治No.94 「ガラパゴス現象」から「限りなく連邦制に近い道州制」へ
行政・自治No.94 先日、2008年10月8日付けの記事で「ガラパゴス諸島」に触れたばかりですが、この言葉は、本田勝一氏の『週刊金曜日』によって広めていただきました。その前後、「小さな司法」も、司法業界では普通名詞になりました。
今日(2008年10月17日)の朝日新聞朝刊に「<裁判員>の名付け親」としての松尾浩也・東大名誉教授のお話しが載っていますが、その口語調のお話しの中に、「<精密司法>と呼ばれたが、ガラパゴス諸島の風景を連想させる独自の繁栄だった」というくだりが出てきます。日本の司法が、「繁栄」していたというのは「?」ですが。
こういうガラパゴスと日本司法を結びつけるのは、本多勝一氏も現に言い、綾小路公磨風に言っても「ガラパゴス諸島の生物に悪いです(申し訳ないです)」。
さて、最近では、私のヒット用語の3つめになりそうな、「限りなく連邦制に近い道州制」という言葉が、妖怪のように出現しています。使われ方の歴史をたどってみると、どうも、私の『公法研究』56号(1994年刊)をも引用する某報告書が初出のようです。もう少し、<精密に>検証しないと断言できませんが、私が言わんとする「限りなく連邦制に近い道州制」とは全く異なり、都道府県制度を抜きにしたものとして、「限りなく連邦制に近い道州制」という語が、あえて誤解を導くように使われ始めたようです。
ともかく、意図する絶対要件を抜きにして、同一の言葉をもって、実質的に別のことを説明・宣伝する、というのは止めて欲しいものです。
2000年4月1日施行の地方自治法の2条1項の「総合的」が市町村合併を誘因する語として、意識的に「誤用」をされたように、よくぞ意図的悪用ができるものと、感心します。
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