偽装の時代(2)
ちょっと前の記事のミネラル・ウォーターですが、オリジナルと言いますか、元々の地元用はこのラベルです。「金城(かなぎ)の華」と言います。2種類のボトルのラベルの製造会社名や所在地を見れば、同一の製品とわかります。と言うよりも、製造会社のホームページを見ると、コンビニ用と自社販売用の2系列で製造していることがはっきりと書いてあります。ホームページによれば、2年連続で2008年もモンド・セレクション最高金賞を受賞したのだそうです。「石見(いわみ)の華」よりも、合併前の小規模自治体である「金城」の名前の方が、響きがいいのか、漢字のイメージがいいのか・・・。「金城の華」は、産地名擬装ではありません。
ちなみに、このミネラル・ウォーター(擬装)問題には、「出雲」と「石見」の地名ブランド度と、両「国」の意識差の話が結びつかざるを得ないように思います。
今でも、日本国内では、ひとつの県の中であっても、旧国名で区切られる地域、あるいは旧藩の名前で示される地域毎に非常に意識が異なるところがあります。九州内の各県でも、旧藩が2つとか、4つとかあって、まとまったことがない、と言われるところもあるようです。
地域経済アナリストで、日本政策投資銀行地域振興部の幹部の方が、「意外に強い地域の実力」というシリーズ記事の中で、今後「高齢者が最も増えない県」として島根県を取り上げています(朝日新聞2008年4月19日付け)。その記事によると、出雲神話の「国譲り」以来、地味なイメージの県としてだるものの、これから20年間では最も高齢者が増えない県だそうです。その県の課題は、若者流出の防止策である、とされていて、「新しい芽」として石見銀山竹の各種起業や隠岐諸島の海産物によるまちおこしを例とされています。しかし、銀山は「石見の国」、海産物は、「隠岐の国」で、いずれも出雲と比べれば陰湿さは少ない風土のところと思います。冒頭は「出雲」神話と地味さを結びつけて始まっているのですから、「新しい芽」があると言うのであれば、「出雲」の国の中に、そのような芽を見いだせる、というのでないと筋が通らないような気がします。幕藩時代の「国」の名残りは、「各藩」の今の人々にも、意識差を与えているように思うのですが。
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