弁No.91 小学生の将来の職業像 ― 弁護士・政治家・大学教授?
弁No.91 李芝妍 「二〇〇九年開学を迎える韓国の法学専門大学院をめぐる動き」『法律時報』2009年3月号84頁を読んでいると、韓国の小学生の将来の職業希望ベスト・スリーは、弁護士、医者、政治家である、と書いてありました。
日本でそんなはずはない、というのが直感。早速、調べてみました。2007年2月現在の内閣府調べによるものだそうですが、予想通り、日本でも医者は挙がったものの、弁護士や政治家はありません。
まぁ、当然ですね。
日本の場合、弁護士は少なすぎて、見たこともないし、イメージもできないし・・・ということでしょう。政治家は、たいていの人は汚い職業と見ているでしょうから、あこがれの業ではない・・・。一生のうちで政治に関わらなかったことを自らの誇りにする人の多いことか。
小学生男子で5位に「大学教授・科学者」が挙がっていますが、これは、理系を念頭においた上で、かつ、大学教授・科学者の処遇の現実を知らないから、挙げることができるのでしょう。九大大学院の法学府(法学部の修士課程・博士課程)の公法分野(憲法・行政法)では、2009年度の研究者志願者は、日本人は1人もいませんでした。合格者が1人もいなかった、というのではなく、志願者・受験者も1人もいなかったということです。学生は、大学に入った後、現在の大学教員の現状を見ると魅力を感じないのは当然でしょうね。教授会のときでも、出席しているうちの何割かは、明らかに研究や教育で過労の表情を現しつつ、服装はホームレスの方のように見えるのです・・・。服装、履き物からも教員の生活水準、研究者になった場合の姿が分かるのでしょう。数年後以降には、団塊世代の大量退職により、膨大な人数の憲法・行政法の教員が必要になるはずですが、どの大学にも研究者志望の大学院生はほとんどおられないようです。
1位 スポーツ選手 33.6%
2位 医者、歯科医、薬剤師 4.8%
3位 学校の先生 3.7%
4位 会社員 3.5%
5位 大学教授、科学者 3.3%
6位 警察官、消防士、自衛官 3.0%
7位 自動車整備士、自動車などの運転 士 2.6%
7位 コック、調理師、栄養士 2.6%
7位 コンピュータ関係 2.6%
10位 パン屋、ケーキ屋、栄養士 2.0%
1位 獣医師、動物飼育、ペット屋など 11.0%
2位 幼稚園・保育園の先生(保育士) 9.9%
3位 パン屋、ケーキ屋,栄養士 9.2%
4位 看護師、介護福祉士 6.2%
5位 作家、アニメ作家、マンガ家 6.0%
6位 歌手、ミュージシャン、俳優など 5.3%
7位 学校の先生 5.1%
7位 スポーツ選手 5.1%
9位 画家、デザイナー、写真家 4.8%
10位 医者、歯医者、薬剤師 4.6%
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