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2009年8月の記事

2009.08.18

法律の施行日の件(補遺:その4)

 いよいよ結果が明らかになりました。

 …… 引用 ……

From: △▽
Date: Tue, 28 Dec 2004 11:53:23 +0900
To:
Subject: 「○○地方自治法」について

(略)
昨日ご連絡いたしました地方自治法施行令92条5項の件で、早々に総務省から回答がありましたのでご報告いたします。
どちらも1月に公布する新市町村合併特例法の施行令にて、11月8日公布の今回の地方自治法施行令を訂正することになっているそうです。

①新設4号中「議員の」が抜けているのはなぜか。
 回答:特に「議員の」がないと意味がとおらないというわけではないが、1月に公布する新市町村合併特例法の施行令にて「議員の」を入れるように調整中。

②新7号(改正前4号)中、市町村合併特例法(平成17年3月末廃止)のみ挙がっているのはなぜか。
 回答:1月に公布する新市町村合併特例法の施行令にて訂正する。旧法(市町村合併特例法)については経過措置にて対応する。

新市町村合併特例法の施行令は1月中には公布され、4月から施行されるそうです。

したがって、発行予定の1月末には先生にご指摘いただいたとおりの内容の文言となる予定です。


From: Shigeo Kisa
Date: Tue, 28 Dec 2004 12:25:10 +0900
To: Goudou Houmu
Subject: 自己レス: [goudou2k:3021] 条文のミスがある?→問題、解決!

皆様

 これは、自己レスです。2度目の私の質問にお一人も回答、反応はありませんでした。誰も、コメントできないハズです。やはり、2箇所とも、総務省のポカミスでした。
 (略)

 踊らされた私が、馬鹿みたいですね。一体、誰がこんな条文を作り、上司は何をしているのでしょうか? 総務省の立案能力も相当に落ちている、と考えざるを得ません。(このMLの総務省OBの方、ゴメンナサイ。理屈が通らないのに、その解説文を書かなければならない者の時間の無駄遣いとヒロウを考えて欲しいものです)
 (略)
 スイスやドイツの法律などに書いてある市民や住民の政治参加規定は子どもが読んでもわかる文章です。外国人の私ですら簡単に読めるのに、日本の法律や政令はいくら読んでもわからない。いかがしたものでしょう・・・

 …… 引用、おわり ……

 こうして、分かるはずのないことについて時間を費やして調べて、結果はこういうことでした。あまりに法律を複雑に作るようになり、また、条文の引用という形が頻繁に使われることになり(地方自治法では特に顕著)、特に関与制度などは本当に理解できない複雑なものになりました。
 数回前に書きましたように、住民基本台帳法改正による段階的実施などは、私の能力では簡単に理解できるようなものではありませんでした。技巧に走る結果、法律が国民・住民から遠ざかったいく、という感を強く持ちます。法律の施行日を誤って理解した言い訳にはなりませんが・・・。

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2009.08.17

法律の施行日の件(補遺:その3)

 昨日の続きです。

 理解できない条文について出版社からの連絡がありました。

 …… 引用 ……
From: △▽
Date: Wed, 22 Dec 2004 15:23:26 +0900
To:
Subject: 「○○地方自治法」について

木佐茂男先生

お世話になっております。
先日ご連絡いただいた地方自治法施行令に関する不明点について、こちらでお調べしてはみたのですが、解明することはできませんでした。
 
92条5項6号の「議員の」、92条5項7号の「市町村合併特例法」のどちらについても官報にて正誤表は出ておりません。
ただ、市町村合併特例法は、平成18年3月31日まで経過措置をとることになっているので、事実上平成17年3月以降も生きているといえることから、7号に市町村合併特例法が入っているのは許容できるのではないかと思われます。しかし、ではなぜ新法は入っていないのかについては調べられませんでした。

まったくお役に立てず本当に申し訳ございません。


From: △▽
Date: Mon, 27 Dec 2004 13:38:38 +0900
To:
Subject: 「○○地方自治法」について

 (略)
施行令92条の件につきまして、ご報告が遅くなりまして申し訳ございません。
弊社で検討しましたところ、・・・(わかりませんでした。回答は) 事前に総務省に問い合わせてからとなります。
総務省に問い合わせますと回答に2週間程度かかるので1月中旬に先生に結果をご報告できると思います。お時間がかかってしまいますがよろしいでしょうか。


 …… 引用、おわり ……

 いよいよ出版社から総務省に問い合わせることになったようです。

  (以下、続きます)

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2009.08.16

法律の施行日の件(補遺:その2)

 今日は、私の実体験を書かせていただきます。

 かつて、私自身が条文の注釈書を書かなければならなかった逐条解説本において、地方自治法施行令の条文に説明不能の規定があると思われたため、私も参加している自治体法務に関するMLに投稿して意見を聞きました。そこでは解決がつかなかったので、当該注釈書の出版社の担当者に聞きました。最後は、総務省のミスということで決着がつきましたが、総務省に最初からすぐに質問するのも恥ずかしく、あの手この手を使ってから最後の手段として問い合わせるわけですが、呆気なくミスを認められる場合もあり、今では、条文自体を最初からまるごとの信用はしないというスタンスになってしまっています。

 地方自治法の一部規定のように、最初から適用事例はないのではないか、と私が疑問に思っている条文もあり、現にその通りに進行していることもあります。

From: Shigeo Kisa
Date: Thu, 16 Dec 2004 05:40:54 +0900
To: △▽(出版社 編集者 宛て)
Subject: お願い

 ○○社
 △▽ 様

 新・施行令を読んでいて、わからないことが、大きく2つ出てきました。どうしても文章にできません。

(疑問1)

新施行令92条5項の第4号には

 「都道府県の設置による都道府県議会の一般選挙又は長の選挙」(新設。ここでは、アという)

 第6号では

 「市町村の設置による市町村の議会の議員の一般選挙又は長の選挙」(既存。ここでは、イという)

 とあります。同じ合併後の選挙でありながら、なぜ、「議員の」というのがあったり、なかったりするのか・・・

 他方で、「新設」の第5号は、「都道府県の議会の議員の増員選挙」(新設。ここでは、ウという)なる文言があります。これは、従来の施行令第92条5項4号(今後は、第7号になる)と同じ用法です。「市町村の議会の議員の増員選挙」となっていますから。

 前二者(アとイ)はバランスがとれているのか。同じく新設規定でありながら、アとウとの間で、矛盾はないか。

 最近の法令は、準用や他法律の引用も多く、かつ、本気で用語を使い分けているのか、上記のように不明のものがあって、よくわかりません。上記のケースは、内閣法制局のチェックはないはずなので、単純にミスなのか、ふか~い意味があるのか、さっぱりわかりません。それとも、私の初歩的知識不足に由来しているのか、自信がありません。


(疑問2)

 施行令は、17年4月1日以降のことを念頭においているにもかかわらず、施行令92条5項7号(改正前の第4号が変更のないまま、第7号になる)には、17年3月末で廃止になる市町村合併特例法のみが上がっていて、同一内容を規定する新・特例等法8条2項は上がっていない。施行日との関係で不統一であるとしか思えない。

 以上のような、いわば字面の理解に関して、不明な部分がありまして、これらが解消すれば、以下のような多少はスッキリした文にしたいと思っておりますが。

  (以下、続きます)

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2009.08.15

法律の施行日の件(補遺:その1)

 2009年7月10日付けの拙ブログ記事「法律の施行日」について、誤解に基づく記載があったため、多くの方にアクセスをいただき、また、コメントなどをいただきました。お礼を申し上げるとともに、ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

 今日、やっとロー・スクールの試験採点、得点調整(優良可の比率を不合格者を除いて3:4:3にする調整作業)、点数のコンピューター入力を終え、これから受講生によるクレームの受付、それに対する回答をする段階に入りました。かつて、良き時代の大学では夏に実質的に2カ月近い研究専念期間が取れたため、著書・論文の執筆に専念することができましたが、今は、上のような質問・回答期間と同時に、学内での集中講義、留学生を多数含む院生の指導、各種の申請や応募のための願書類の「作成指導」から自筆署名も必要で、数日たりとも本務地を離れることさえ困難な時代になりました。それらと同時進行で、入試も始まり、ほんのわずかの休日を取ることも不可能に近くなっています。現に、正月以来、土日祝日はありませんでした。せめて1泊くらい温泉にでも、と思っていましたが、叶わぬ夢です。
 申請・応募書類などにあっては、捺印で足りるのであれば代行による押捺もありえないではないですが、「2日以内に自筆署名がないと応募できない」という事態が数件以上も発生すると、どうしようもなくなります。

 やっと少し時間を確保できましたので本題に戻ります。

 2004年6月23日に発覚した年金制度改革関連法条文ミス問題をめぐっては、内閣法制局が秋山收長官ら4人、厚生労働省では大塚義治事務次官ら4人の幹部計8人が訓告処分を受けました。社会保険庁長官(56歳)と年金改革関連法の責任者だった年金局長(56歳)は退官し、民間保険会社の副社長(57歳)が初の民間出身者として長官に就任しました。

 同年7月27日の官報で、同法につき、15項目、40カ所にわたる正誤表を掲載し、条文の訂正が行われました。実は、国の法令のミスは、年金制度改革関連法が初めてではなく、6月23日の時点で、当時の細田官房長官は、過去10年間で29件の官報による訂正があったとしています。おそらく、新聞報道では明確ではないのですが、この件数は法律レベルのものだけではないかと思います。政令レベルでは、こっそりと修正されている条文が、これから説明しますように、かなりにあるのではないでしょうか。

 私が、法律施行日について、ロー・スクール学生の出席カードにおける質問に端を発して、一体、施行日がいつなのか、という問題を扱ったのには、上記のような国のレベルで法律条文自体にミスがあることが稀な例外ではない、ということに端を発しています。
 条文には、【 】の見出しと( )の見出しの両方がありますが、六法編集者(ないし解説をした研究者)が付ける見出しにも、あるいは、もともとの法令上の見出しにも、条文の内容とそぐわないものがあります。

 そして、この7月にはすでに5年を超え30回以上に及んでしまったある仲裁事件に関わっていました。そのため、扱っている仲裁手続と同時進行で、仲裁法、裁判外紛争解決手続法の内容、そして、それらの施行日について、両法の動向に注意をしていました。そこへ、学生の質問から裁判外紛争解決手続法の施行日問題が出てきました。何しろ、一回の法律改正で、条文ごとに施行日が何回にも分かれる、というのは住民基本台帳法改正で十分に味わったことです。そのことから、どの条文が果たして施行されているかどうかが、最新版の総務省のデータベースでも分からない、という普段から困っている問題が重なって、自分でも事態がわからなくなってしまいました。

 もともと、国の法令には、ときに結構なミスもあって、もはや大きな信頼を置けないという問題意識をもっています。以下のような施行令ミスにより振り回された経験を紹介しておきます。この件以外にも、法令のミスがあり、結果的に多大に時間を奪われたことがあります。 (以下、2回か3回、続きます)

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2009.08.08

弁No.100 見ざる・言わざる・聞かざる・考えざる

弁護士No.100 元・裁判官で、裁判官懇話会の元世話人などを務められた梶田英雄氏が亡くなられました。今夜、19時から草津市でお通夜が執り行われます。明日が葬儀です。享年75歳ですから、早世という感じしかなく、私にとっては突然の訃報でありました。

 梶田氏は、記録映画『日独裁判官物語』の中で、こう言われていました。

 裁判官に対する差別についてです。

「具体的にいえば、一応三つあるのですがね。一つは任地ですね。
任地上の差別があります。これはやはり希望する所へなかなか行け
ない。それから二つ目は給料ですね。それから三つ目は部総括裁判
長の指名を受けられない。部総括裁判官というのは裁判長になるこ
とですね、合議体の裁判長。裁判官としては非常にやりがいのある
仕事なんですけれど、こういうポストになかなか就けさせてもらえ
ない。この三つが人事上の差別の非常に大きな要素になっているわ
けですね」。

 弔電には、次のように書きました。上記の記録映画のシナリオ作りの際には私が失念していて映画にはならなかったセリフです。

 「梶田先生、ご冥福をお祈りいたします。先生のご名言「(裁判所では)見ざる、言わざる、聞かざる、考えざるですよ」が裁判所から消えるようにさらに微力を尽くしたいと思います。数々のご教示、ありがとうございました。」

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