法律の施行日の件(補遺:その2)
今日は、私の実体験を書かせていただきます。
かつて、私自身が条文の注釈書を書かなければならなかった逐条解説本において、地方自治法施行令の条文に説明不能の規定があると思われたため、私も参加している自治体法務に関するMLに投稿して意見を聞きました。そこでは解決がつかなかったので、当該注釈書の出版社の担当者に聞きました。最後は、総務省のミスということで決着がつきましたが、総務省に最初からすぐに質問するのも恥ずかしく、あの手この手を使ってから最後の手段として問い合わせるわけですが、呆気なくミスを認められる場合もあり、今では、条文自体を最初からまるごとの信用はしないというスタンスになってしまっています。
地方自治法の一部規定のように、最初から適用事例はないのではないか、と私が疑問に思っている条文もあり、現にその通りに進行していることもあります。
From: Shigeo Kisa
Date: Thu, 16 Dec 2004 05:40:54 +0900
To: △▽(出版社 編集者 宛て)
Subject: お願い
○○社
△▽ 様
新・施行令を読んでいて、わからないことが、大きく2つ出てきました。どうしても文章にできません。
(疑問1)
新施行令92条5項の第4号には
「都道府県の設置による都道府県議会の一般選挙又は長の選挙」(新設。ここでは、アという)
第6号では
「市町村の設置による市町村の議会の議員の一般選挙又は長の選挙」(既存。ここでは、イという)
とあります。同じ合併後の選挙でありながら、なぜ、「議員の」というのがあったり、なかったりするのか・・・
他方で、「新設」の第5号は、「都道府県の議会の議員の増員選挙」(新設。ここでは、ウという)なる文言があります。これは、従来の施行令第92条5項4号(今後は、第7号になる)と同じ用法です。「市町村の議会の議員の増員選挙」となっていますから。
前二者(アとイ)はバランスがとれているのか。同じく新設規定でありながら、アとウとの間で、矛盾はないか。
最近の法令は、準用や他法律の引用も多く、かつ、本気で用語を使い分けているのか、上記のように不明のものがあって、よくわかりません。上記のケースは、内閣法制局のチェックはないはずなので、単純にミスなのか、ふか~い意味があるのか、さっぱりわかりません。それとも、私の初歩的知識不足に由来しているのか、自信がありません。
(疑問2)
施行令は、17年4月1日以降のことを念頭においているにもかかわらず、施行令92条5項7号(改正前の第4号が変更のないまま、第7号になる)には、17年3月末で廃止になる市町村合併特例法のみが上がっていて、同一内容を規定する新・特例等法8条2項は上がっていない。施行日との関係で不統一であるとしか思えない。
以上のような、いわば字面の理解に関して、不明な部分がありまして、これらが解消すれば、以下のような多少はスッキリした文にしたいと思っておりますが。
(以下、続きます)
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