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2009.08.15

法律の施行日の件(補遺:その1)

 2009年7月10日付けの拙ブログ記事「法律の施行日」について、誤解に基づく記載があったため、多くの方にアクセスをいただき、また、コメントなどをいただきました。お礼を申し上げるとともに、ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

 今日、やっとロー・スクールの試験採点、得点調整(優良可の比率を不合格者を除いて3:4:3にする調整作業)、点数のコンピューター入力を終え、これから受講生によるクレームの受付、それに対する回答をする段階に入りました。かつて、良き時代の大学では夏に実質的に2カ月近い研究専念期間が取れたため、著書・論文の執筆に専念することができましたが、今は、上のような質問・回答期間と同時に、学内での集中講義、留学生を多数含む院生の指導、各種の申請や応募のための願書類の「作成指導」から自筆署名も必要で、数日たりとも本務地を離れることさえ困難な時代になりました。それらと同時進行で、入試も始まり、ほんのわずかの休日を取ることも不可能に近くなっています。現に、正月以来、土日祝日はありませんでした。せめて1泊くらい温泉にでも、と思っていましたが、叶わぬ夢です。
 申請・応募書類などにあっては、捺印で足りるのであれば代行による押捺もありえないではないですが、「2日以内に自筆署名がないと応募できない」という事態が数件以上も発生すると、どうしようもなくなります。

 やっと少し時間を確保できましたので本題に戻ります。

 2004年6月23日に発覚した年金制度改革関連法条文ミス問題をめぐっては、内閣法制局が秋山收長官ら4人、厚生労働省では大塚義治事務次官ら4人の幹部計8人が訓告処分を受けました。社会保険庁長官(56歳)と年金改革関連法の責任者だった年金局長(56歳)は退官し、民間保険会社の副社長(57歳)が初の民間出身者として長官に就任しました。

 同年7月27日の官報で、同法につき、15項目、40カ所にわたる正誤表を掲載し、条文の訂正が行われました。実は、国の法令のミスは、年金制度改革関連法が初めてではなく、6月23日の時点で、当時の細田官房長官は、過去10年間で29件の官報による訂正があったとしています。おそらく、新聞報道では明確ではないのですが、この件数は法律レベルのものだけではないかと思います。政令レベルでは、こっそりと修正されている条文が、これから説明しますように、かなりにあるのではないでしょうか。

 私が、法律施行日について、ロー・スクール学生の出席カードにおける質問に端を発して、一体、施行日がいつなのか、という問題を扱ったのには、上記のような国のレベルで法律条文自体にミスがあることが稀な例外ではない、ということに端を発しています。
 条文には、【 】の見出しと( )の見出しの両方がありますが、六法編集者(ないし解説をした研究者)が付ける見出しにも、あるいは、もともとの法令上の見出しにも、条文の内容とそぐわないものがあります。

 そして、この7月にはすでに5年を超え30回以上に及んでしまったある仲裁事件に関わっていました。そのため、扱っている仲裁手続と同時進行で、仲裁法、裁判外紛争解決手続法の内容、そして、それらの施行日について、両法の動向に注意をしていました。そこへ、学生の質問から裁判外紛争解決手続法の施行日問題が出てきました。何しろ、一回の法律改正で、条文ごとに施行日が何回にも分かれる、というのは住民基本台帳法改正で十分に味わったことです。そのことから、どの条文が果たして施行されているかどうかが、最新版の総務省のデータベースでも分からない、という普段から困っている問題が重なって、自分でも事態がわからなくなってしまいました。

 もともと、国の法令には、ときに結構なミスもあって、もはや大きな信頼を置けないという問題意識をもっています。以下のような施行令ミスにより振り回された経験を紹介しておきます。この件以外にも、法令のミスがあり、結果的に多大に時間を奪われたことがあります。 (以下、2回か3回、続きます)

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