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2009年10月の記事

2009.10.21

国立大学法人が被告の訴訟で被告大学側は毎回手書きの準備書面!

 全国国公私立大学の事件情報を見ていましたら、金沢大出勤停止処分無効確認等請求事件があるのを知りました。

 その事件に関するブログを見ると、大学はどうなっているんだ、という思いが募ってきました。被告側の対応のいい加減さは、このブログを見る限りすさまじいですが、差し当たり、何よりも驚いたのは大学側代理人弁護士が提出している準備書面が全部、手書きのようです。どのようにして副本などを用意しているのか、この時代に不思議なことです。手書きの準備書面の写真は、ここ に載っています。今でも、各地の裁判所では高齢の弁護士の方だったらこういう形があるのでしょうか?

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2009.10.09

自治・行政No.110 ニセコ町 町民公開で片山健也町長・初訓辞

自治・行政No.110 今日は、新しい北海道ニセコ町長片山健也氏の初登庁の日でした。普段着姿の町民の方たちが多いのが嬉しいことです。

 同氏の最初の職員訓辞は、町民公開で行われたそうです。さすが、ですね。

 今後のご活躍に期待します。

 ちなみに、今日付のニセコ町役場のホームページにも、登庁の様子が写真入りで載っています。

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2009.10.08

北九州近郊の方へ 『自治体法務講座』、『自治体法務土曜講座』、『自治体法務出前講座』

 北九州市近郊の(特に、自治体職員)の方へのご案内

 2009年10月後半に開催される3件の講座のご案内です。
 
 自治体職員のための『自治体法務講座』、『自治体法務土曜講座』、『自治体法務出前講座』です。

 案内状は、1本化されていますので、こちら をご覧下さい。

 申込みは、要領に従って、直接、主催者にお願いいたします。

 なお、第49回九州自治体法務研究会は、10月24日に九州の最南端に近い鹿児島県錦江町で開催されます。

 この 案内チラシ がすごいです。私も出席予定です。

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2009.10.06

弁No.101 台湾の司法試験受験者

弁No.101 今日、届いた電子メールによりますと、台湾2009年の司法試験受験者約7,000人だったそうです。人口は、約2,300万人です。日本の5.6分の1という感じになります。日本の人口に合わせれば、39,200人が受験したことになりそうです。

 そうすると、日本の新司法試験の実受験者数が7,392人でしたから、日本の5.3倍の受験者があったことになります。

 中国本土の方は、2009年度司法試験が9月19、20日に実施されたそうです。今年の試験参加者は去年より3万人多い41万人だったといいますから(→ こちら)、人口が日本の約10倍であることを考えると、日本なら4.1万人に当たることになります。

 ちなみに韓国は、人口が日本のほぼ3分の1ですが、司法試験合格者数は日本とほぼ同じように制度設計したはずです。

 各国の司法試験受験者が多すぎるのか、日本の方が、おかしいのか、まだ論ずべきことは残るようです。いずれにしても、「法曹像」がアジアの中でも日本は大きく異なっていることだけは確かですが、日本の方向が、唯一、正しい道である、と頑張ってみるのもいいかもしれませんね。

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2009.10.05

大学破壊の時代?

 長崎県立大学教授懲戒処分について記事をかいたばかりですが、早速、次のようなメールをいただきました。

 > 木佐様
 > お久しぶりです。記事拝見しました。
 > 実は大学の危なさについて書いているところで、何回かあとの
 > ○○で出す予定でした。少し加筆して、下記ホームページをリンクしたいと
 > 思います。とにかく、大学の生命力がどんどん失われています。
 > 出勤簿(捺印)が常識になったら(大学は)アウトです。では。

 ( )内は、木佐による補足

 さらに、人見剛(北海道大学教授)『分権改革と自治体法理』(敬文堂、2005年) を読んでいたら、こういう「はしがき」の一文がありました。

 「私は、本書を手にする度に、在りし日の都立大学と都立大学法学部を想い、この度の理不尽な大学破壊をあらためて心に刻み、悔しさと悲しみに胸を震わせることになるであろうと思う。東京都という地方自治体による大学破壊の記憶を忘却の彼方に消し去ることがないよう、これからも努力していくつもりである。」

 このような、大学を外から破壊する行為、内から破壊する行為、内部に破壊者を送り込む行為・・・・、案外、全国の大学で蔓延しているかもしれません。

 ただ気をつけなければならないと数日前に思ったことがあります。勤務先の大学本部の某責任者と研究室で話していて再確認した出来事があります。外から、あるいは、「上から」来た人の方が、内部に長年いる人間よりも、ずっと広い深い視野から大学の自滅状況を正確に見ていることがある、ということです。そのあたりのバランスが難しいところですね。

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2009.10.04

すべての国公私立の大学研究者の方へ: 長崎県立大学教授懲戒処分事件

 長崎県立大学教授懲戒停職処分事件につき、同教授を支援する会の暫定的なホームページが、一般市民と大学関係者の支援によって、作成され、公開されました。

 県庁、市役所から補助金をもらってくれ、と言われ、所属大学からは県下最初のベンチャー企業として大いに支援を受けてスタートし、サブプライム・ローン問題などもあって経営破綻した企業の社長をしていた大学教授が、大変な状況に置かれています。

 まず、長崎市から100条委員会での証人喚問を経て、補助金詐欺罪ですでに告訴されました。政治問題の生け贄にでもするかのように、県議会100条委員会で違法な調査手続(地方自治法100条で準用される民訴法違反などの手続)を行った後、どのような証拠からか未だ判然としませんが、偽証罪で告発。県議会は、県にも不作為による詐欺罪での告訴を検討するようにとの意見書を全会一致で議決をしました。

 そして、その教授は、あろうことか、「、本来兼業が認められていない法人の勤務を要する日または勤務を要する時間内に、勤務日または勤務時間の振り替え申請を行うことなくバイオラボ株式会社の業務に従事し、中国渡航や国内出張などを行ったことは、兼業従事許可に違反するものである。」として、6カ月の懲戒停職処分にしました。

 その処分に至る手続たるや、およそ法治国家なり法治主義とは無関係のものとしか思えません。

 この約1年間にわたる一連のできごとがあって、現在、懲戒処分不服申立手続と、手続を受ける権利侵害を理由とする民事損害賠償訴訟、懲戒処分に関する民事仮処分、解雇無効の訴訟で争われているようです。

 私など、大学に勤務し始めてから一度も出勤簿に自分で印鑑を押したことはありません。32年もの間です。自分の出勤簿を見たこと(その存在を確認したこと)は、北大時代に2回あるのみです。

 この県立大学でも、大学に出勤せず、自宅で研究や教育の準備をしている教員は、文系を中心にいくらでもおられます。全教員へのアンケート調査でも明らかでした。

 しかし、今回の大学側の実務に照らせば、私などは、懲戒停職処分どころか懲戒解雇処分を受けることになるのでしょう。全大学人にとって、ゆゆしき問題です。いわゆる法人化で危惧されていた問題がまさに起きているという感想を持ちます。

 カネに貧した大学が、産官学共同事業をいっそう進めようとしている今日、予想もしない落とし穴がどこにあるかわかりません。特に大きな金額を扱われる理系の先生方に強く、この長崎県立大学事件を知っていただくよう、支援する会のホームページの存在を広めてください。

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2009.10.02

行政・自治No.109 「今回の選挙期間中、「人間の尊厳、基本的人権」の言葉が頭から離れなかった。」

行政・自治No.109 ニセコ町長になられた片山健也氏のTwitter上での発言です。 → 同氏の HP からも行けますが、直接には こちら へ

>今回の選挙期間中、「人間の尊厳、基本的人権」の言葉が頭から離れなかった。
>日本の村社会の中で「思想信条の自由」が守られるのか、今一度考えを整理してみたい。
> 5:50 PM Sep 28th webで

 小さな町での短い選挙キャンペーンの期間に、強い地域社会の縛りの中で、片山さんの声を生で聞こうにも聞くことのできない地域の有権者たちがいた、ということのようです。日本の中で住民がもっとも声を出しやすい自治体と思われるニセコ町でもこうなのですから、他は推して知るべしということなのでしょうか。

 まちづくり基本条例の改正が間もなく行われると思われます。今まで、自治基本条例・まちづくり基本条例の中で基本的人権のことについては深く取り上げなくてもいいと思っていた私ですが、見解を改めなければならないのかもしれません。

 そのこととは別に、首長が、このような問題意識を持っている自治体に住んでいる人は、うらやましい、とも言えます。

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2009.10.01

写真の入った法学の専門書・教科書

 私の単著は、いずれも写真入りです。法律関係の学術書(私の本は学術書ではない・・・のかな)に写真を入れるのは、不謹慎、あるいは、論理で説明できないための逃避、と考える方も多いでしょう。私が論文や著書に写真を入れてもいいのではないか、それが文字による説明よりも勝る部分があるならば、と判断するに至ったのにはきっかけがあります。

 私が接した限りでおそらく初めて写真を使った法学の専門的な本は、阿部泰隆教授の『国家補償法』(有斐閣、1988年)でした。それを見て、大東水害訴訟の重要部分(争点)が分かったように思ったものです。この著作は、1988年10月刊行です。その年の4月から私が連載していた「開かれた親切な裁判所と行動する裁判官――最近の西ドイツ司法事情」『判例時報』には、まだ写真を用いていませんでした。著作としてまとめるときに、写真をおそるおそる使ったものです。

 以後、私の講義は、法科大学院(ロー・スクール)も含め、パワーポイントに写真を入れて、使用する大多数の裁判事件について現場を、または、同じ場面でないとしても古い時代のことが理解できない場合に、可能な限り類例の写真や図をもってきて、現実態を想起してもらうようにしています。

 久しぶりに、この大東水害訴訟の写真に触れました。このたび刊行された同教授のご労作『行政法解釈学Ⅱ』(有斐閣、2009年)532頁に、そのときの2枚の写真が再掲されたので、是非見ていただきたいと思います。

 水害訴訟の流れの変更、判検交流問題の世間への周知、そうした多くの問題に連なっていった河川水害訴訟の著名事件のもっとも大事な現場なのです。

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