長崎県立大学教授懲戒停職処分事件につき、同教授を支援する会の暫定的なホームページが、一般市民と大学関係者の支援によって、作成され、公開されました。
県庁、市役所から補助金をもらってくれ、と言われ、所属大学からは県下最初のベンチャー企業として大いに支援を受けてスタートし、サブプライム・ローン問題などもあって経営破綻した企業の社長をしていた大学教授が、大変な状況に置かれています。
まず、長崎市から100条委員会での証人喚問を経て、補助金の詐欺罪ですでに告訴されました。政治問題の生け贄にでもするかのように、県議会は100条委員会で違法な調査手続(地方自治法100条で準用される民訴法違反などの手続)を行った後、どのような証拠からか未だ判然としませんが、偽証罪で告発。県議会は、県にも不作為による詐欺罪での告訴を検討するようにとの意見書を全会一致で議決をしました。
そして、その教授は、あろうことか、「、本来兼業が認められていない法人の勤務を要する日または勤務を要する時間内に、勤務日または勤務時間の振り替え申請を行うことなくバイオラボ株式会社の業務に従事し、中国渡航や国内出張などを行ったことは、兼業従事許可に違反するものである。」として、6カ月の懲戒停職処分にしました。
その処分に至る手続たるや、およそ法治国家なり法治主義とは無関係のものとしか思えません。
この約1年間にわたる一連のできごとがあって、現在、懲戒処分不服申立手続と、手続を受ける権利侵害を理由とする民事損害賠償訴訟、懲戒処分に関する民事仮処分、解雇無効の訴訟で争われているようです。
私など、大学に勤務し始めてから一度も出勤簿に自分で印鑑を押したことはありません。32年もの間です。自分の出勤簿を見たこと(その存在を確認したこと)は、北大時代に2回あるのみです。
この県立大学でも、大学に出勤せず、自宅で研究や教育の準備をしている教員は、文系を中心にいくらでもおられます。全教員へのアンケート調査でも明らかでした。
しかし、今回の大学側の実務に照らせば、私などは、懲戒停職処分どころか懲戒解雇処分を受けることになるのでしょう。全大学人にとって、ゆゆしき問題です。いわゆる法人化で危惧されていた問題がまさに起きているという感想を持ちます。
カネに貧した大学が、産官学共同事業をいっそう進めようとしている今日、予想もしない落とし穴がどこにあるかわかりません。特に大きな金額を扱われる理系の先生方に強く、この長崎県立大学事件を知っていただくよう、支援する会のホームページの存在を広めてください。