写真の入った法学の専門書・教科書
私の単著は、いずれも写真入りです。法律関係の学術書(私の本は学術書ではない・・・のかな)に写真を入れるのは、不謹慎、あるいは、論理で説明できないための逃避、と考える方も多いでしょう。私が論文や著書に写真を入れてもいいのではないか、それが文字による説明よりも勝る部分があるならば、と判断するに至ったのにはきっかけがあります。
私が接した限りでおそらく初めて写真を使った法学の専門的な本は、阿部泰隆教授の『国家補償法』(有斐閣、1988年)でした。それを見て、大東水害訴訟の重要部分(争点)が分かったように思ったものです。この著作は、1988年10月刊行です。その年の4月から私が連載していた「開かれた親切な裁判所と行動する裁判官――最近の西ドイツ司法事情」『判例時報』には、まだ写真を用いていませんでした。著作としてまとめるときに、写真をおそるおそる使ったものです。
以後、私の講義は、法科大学院(ロー・スクール)も含め、パワーポイントに写真を入れて、使用する大多数の裁判事件について現場を、または、同じ場面でないとしても古い時代のことが理解できない場合に、可能な限り類例の写真や図をもってきて、現実態を想起してもらうようにしています。
久しぶりに、この大東水害訴訟の写真に触れました。このたび刊行された同教授のご労作『行政法解釈学Ⅱ』(有斐閣、2009年)532頁に、そのときの2枚の写真が再掲されたので、是非見ていただきたいと思います。
水害訴訟の流れの変更、判検交流問題の世間への周知、そうした多くの問題に連なっていった河川水害訴訟の著名事件のもっとも大事な現場なのです。
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コメント
おひさしぶりです。写真いりのものは印象がのこりやすくていいですね。
国際法のほうで参考書に条約集以外に資料集がつかわれるときは写真入りですけど、教科書そのものにはいってませんねえ。
ビジュアルにうったえる点で趣味の切手収集と関連して切手でみる法学入門とかつくってみようかとおもっています。
投稿: 岡本 哲 | 2009.10.01 18:15
うわぁ! NIFTY FLAW SDI00722 sysop MADI ,FGALIAN SUBSYS 43期 様。お久しぶりです。覗いていてくださるんですねぇ。有り難うございます。FLAW が分かる人、何人いるでしょう? ほびっと さんとか、元気なのでしょうか?
投稿: きさ | 2009.10.01 21:01
法律フォーラム関係者はだいたい元気です。ほびっとさんは弁護士の妻になりました。ミクシィにはでていますよ。初期のサブシスとかスタッフのあとさん、かんださん、茶坊主さんは現在弁護士で活躍中です。T&Vさんは北大の教授、指宿さんは立命館の教授になっています。
スタンプショウ博多の案内を事務所まで送付しておきますのでよろしったらみてください。
投稿: 岡本 哲 | 2009.10.02 11:22