バラック建て、青写真、小作農、土地改良、入会と財産区・・・
3日前の火曜日、公法訴訟実務というロー・スクールの科目で、非常勤のベテラン弁護士講師による講義・演習が行われていました。とても貴重な講義です。こういう場で、行政法の最新の判例を理解するには、戦後直後辺りの裁判例に出てくる用語の知識も必要です。
講師は、「処分性」の話をしながら、「バラック建て」、当時の九州のかなりの家には屋根がなかった、青写真が・・・とか、いろいろと学生の理解を助ける話をしながら、要領よく解説をしてくださっています。
講義がそろそろ終了する時点で、私が、最後列の席から、不規則発言。受講者で「バラック建て」という言葉の意味が分からない人は手を挙げて、と言ったら、ほぼ全員が挙手。
今や、タイトルに書いたような言葉、それらは、行政法の基本的判例で良く出てくるのですが、言葉の意味も、その実物のイメージもできないまま、「事業計画」だの、「入会(いりあい)」だのを、勝手に(?)想定して、自己解決をしているのですね。もう、「小作農」も、実感的にはわからないでしょう。
北九州市の中心部付近でも、戦後直後は、イタチも出てくるし、ネズミが家の中を走り回っていて、それを「ネズミ取り機」で捕獲して猫の餌にやって、蛇もネズミを飲み込んで、とかハナされて、今の里山みたいでしたよ、と言われても、今度は、「里山」の共通イメージがない・・・
里山(さとやま)と里道(りどう)、赤道(あかみち)と赤道(せきどう)、青道(あおみち)と赤道(あかみち)、青線(あおせん)と赤線(あかせん)・・・。字の読み方から始まって、30歳前後も珍しくないロー・スクール生に伝える方法はいかに・・・
以前にも書きましたが、講義中に説明すべき前提的事実が、日々増えてくる感じです。
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コメント
里道・水路・海浜(第4版)は結構いい本。
第4版収蔵館が少ないことに問題あり。http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=BA90592523
「用地ジャーナル」も同様。赤道・青線からEEZ・ADIZまで領域管理の制限なし。前副学長に発信者をご確認ください。
投稿: hyperwizard | 2010.10.31 23:16