アラベラ・美歩・シュタインバッハー 2011年公演への序曲
ゲヴァントハウス交響楽団との感動的な演奏会から、ざっと1年が過ぎました。以下の件について、いつ書こうか迷っていましたが、アラベラ・美歩・シュタインバッハーの来年の日本での演奏会スケジュールも数ヶ月前には決まっていましたので、この段階で書くことにします。来年は、読売日響との競演、それと、ソロ・リサイタルです。
それの紹介に先立ち、残念なことを書いておかなければなりません。
ひさしぶりに「アラベラ・美歩・シュタインバッハー」で検索すると、ヤフーやグーグルで第1順位か第2順位で現れるのがウィキペディアの記事です。これが間違ったままなので、強く抗議します。彼女についてのウィキペディアの原稿の約6割が、この誹謗中傷というしかない誤った内容です。この悪意に満ちたとでも言える記事内容に対しては、彼女の母からも強い批判があります。
…… ウィキペディアからの引用 ……
なお、日本のコンサートや報道において、「アラベラ・美歩・シュタインバッハー」と表記しているが、これは世界で日本だけである。日本以外の国々では、ミドルネームの表記はない。
彼女の「公式ホームページ(独語・英語)」や「CDジャケット(世界共通)」では、ミドルネームを記載していない。ヨーロッパ、アメリカ、中国、他のアジア諸国での報道(インターネット含む)やコンサートでも、全て、「アラベラ・シュタインバッハー(Arabella Steinbacher)」表記である。
あえて、日本のコンサートや報道で、彼女の「公式ホームページ」や「CDジャケット」にも記載していない「美歩」という漢字表記のミドルネームを加えるのは、彼女の母親が日本人であるため、この若手ヴァイオリニストに親近感を持ってもらおうとするマネジメント会社の営業戦略の一環である。
…… 引用、おわり ……
事実は、こうです。日本でデビューする前に、プログラムなどにおけるカタカナ表記をどうするか彼女の母と議論しました。漢字で「美歩」と書くか、カタカナで「ミホ」と入れるか、それとも「美歩」、「ミホ」は削除するか、を。敢えて例えの表現をすれば、ドイツ等の演奏会ではすでに「芸名」として「アラベラ シュタインバッハー」が通用しているが、日本ではきちんと本名で通そう、ということで決まりました。本名を使って日本では演奏しているのです。彼女が生まれたミュンヘン市の公式文書では、Arabella Miho Steinbacher となっており、日本の官公庁が保管する文書、彼女自身が所持している公式証明書にも アラベラ・美歩・シュタインバッハーと書いてあります。
彼女の母は、ウィキペディアの記事に対して、次の例を挙げて批判しています。バイオリン奏者の「五嶋みどり」さんは、どうなのか。外国公演は、すべて「Midori」ではないか。これこそが、本名を捨てた商業主義に拠ってはいないだろうか、と。Arabella Steinbacher という表記の方が、ドイツ側のマネージメント会社の商業主義のなせることと言っていいかもしれません。
ちなみに、同じウィキペディアにある「五嶋みどり」の解説によると、「海外では “Midori” として知られているが、これは彼女自身が両親の離婚を機に苗字を省いたのが起源。」とあります。
これをアラベラ・美歩・シュタインバッハーに当てはめれば、彼女および母がドイツのマネージメント会社にきちんと抗議をしていない、ないし、契約締結の際に「美歩」を省略しているから自分の責任である、ということになりますが、自分の意志で両方使ってどこが悪い!ということではないでしょうか。
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