条文の見出し
条文の見出しには、〔 〕または【 】 と ( )があるのは周知のことでしょう。 〔 〕 と 【 】 のいずれを使うかは、出版社によります。〔 〕は、手元にある例では、ぎょうせい や 岩波書店。 【 】は有斐閣です。
かつては〔 〕【 】であった条文見出しが、( )に変わっていることもあります。地方自治法の重要条文245条などは、現在は、( )です。
その昔、『基本法コンメンタール 地方自治法』で252条の2以下の解説を書いたとき、当時の見出しは、( )ではなかったため、一部の条文の見出しを自分で変えました。どうも条文の内容を反映しない見出しが付いているように思ったからです。
地方自治法130条は、平成18年(2006年)に第3項の改正がありました。これは「改正」という文字の語義からして「改正」であり「改悪」ではないですが。
現在の六法では、この条文の見出しが出版社により異なります。もとより地方自治法1条の2や2条という重要な条文の見出しは各社バラバラですが、その違いは価値観にあまり大きな影響がなく、取り上げるほどの問題ではないと考えます。しかし、130条になると議論の余地があるでしょう。
有斐閣では、【傍聴人に対する措置】となっていますが、ぎょうせいと岩波書店『基本六法』では〔傍聴人の取締り or 傍聴人の取締〕です。もっとも同じ岩波書店でも、『セレクト六法』は 〔議長による傍聴の秩序維持〕としています。
ここでは、【傍聴人に対する措置】 または 〔議長による傍聴の秩序維持〕 の方が価値的に優れています。かつては、「大学の運営に関する臨時措置法」の扱いなどで、岩波の六法が編集方針として(私の個人的価値観によれば)進んでいたと思われるのですが、今は、逆転しています。時代の動きと関係しているのか、何が原因なのか、私にはわかりません。
ただ、いずれにしても、「措置」や「秩序維持」の対象でしかない「傍聴人」の地位そのものが問題ですが、これらは地域主権戦略会議や地方行財政検討会議でしっかり議論して欲しい論点の一つです。
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