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2011.03.11

ロースクール(法科大学院)が抱える切実な課題

 私の職場の教員用メーリングリストでも、岡山大学法科大学院 井藤公量教授(司法修習45期、弁護士)が運営される公式サイトで報告された「安念節炸裂! 来年度の授業を前に読み返してみました。」の紹介があり、早速、全文を読ませていただきました。

 この通知というか知らせがなければ、ツイッターにつきあっていない私は、全く知らずに過ごすところでした。

 安念潤司教授は、北大時代の元・同僚ということになり、その語り口は、十二分に理解しているつもりですから、文字で読んだ内容はそのまま同教授の生の言葉として耳に入ってきます。ロー・スクール生と、その教育労働者群が置かれた状況を見事に語っておられます。

 「第6回法科大学院(法曹養成制度)の評価に関する研究会」で安念教授が話されたことの「 議事録」(P22~35)からの引用です。

 全文引用したいくらいですが、下記の部分が私にとってももっとも切実です。

 「私は別に自分で司法試験の採点をする立場ではありませんから、自分の書いたことが正しいのかどうかわかりません。そこで、ぜひお願いしたいのは、実際に司法試験の問題を出している人に、模範答案というのを幾つか出してほしいんです。そうでないと、もう学生たちは疑心暗鬼です。断片的な講評の類は法務省のホームページにも出ていますが、断片的なので、かえって疑心暗鬼になるんです。「法務省のホームページにはこう書いてありました、じゃあ、ほかの書き方だめなんですか」って、それは受験生だからそう言うに決まっているじゃないですか。ならば、3つか4つ、こういうのがいい答案の例ですというのをぜひ示していただきたい。自分で書くのが嫌なら、司法試験の優秀な答案、あるいは中くらいの答案、すれすれの答案、だめ答案、これを出していただきたい。そうでないと、学生たちの疑心暗鬼は高まる一方です。その精神的な負担は実際には非常に大きい。ぜひそうしていただきたいと思います。」

 ロー・スクール生は、「合格」以外の文字や言葉には、ほとんど関心を持てないのだと思います。先日も、500万円、900万円などの奨学金借金を抱えている修習生に何人も会いました。私だって、この金額、とても月々の月給から貯めていくことは容易ではないですが、ロー・スクールを卒業した後、結果的に失敗をする方などは、この額を返しながら、さらに結婚資金でも貯める、など夢の世界の話でしょう。

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コメント

大学受験予備校では成績優秀者は授業料免除とかの特典があり、それによって合格実績をあげます。予備校に授業料を請求された時点で難関大学はもうだめだ、とかいわれます。
 奨学金が給付ではない貸与になる学生は将来が期待されていない、ということになるのでしょうか。

 弁護士になれないことが確定したら破産でまぬかれる手はあります。

 アメリカは奨学金については非免責なので大学卒業後就職できないひとが軍にはうることになります。これも悲惨なはなしではあります。

投稿: madi | 2011.05.09 13:35

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