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2011.05.08

行政・自治No.139 条文不整合のまま10年以上の放置 …… 地方自治法本法条文

行政・自治No.139 平成22(2011)年3月に提案された地方自治3法が、ようやく連休の谷間の5月2日に公布されました。

 提案後、ずいぶんと期間が経ってしまい、その内容については既に議論が尽くされている感がありますが、衆議院のサイトに掲載された地方自治法改正案を見ていて、気になることがありました。

 改正条文のうち291条の5に関して次のような記述があります。
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 第二百九十一条の五第一項中「次条第七項」を「次条第八項」に改める。
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 これは、291条の5において、次条7項を次条8項に変える、というのですが、総務省のサイトに掲載の新旧対照表の13ページで確認すると、ここでいう「次条」たる「291条の6」においては上記の項の移動がないのです。

 となれば、これは、現行地方自治法がミス状態になっているものをこっそり変えるということにしかみえません。
 機会は何度もあったにもかかわらず改正が行われなかったのは、盲腸のような重箱のスミをつついたような条項であるから誰もこのことに気づかなかったのか(まさか!)、それとも多数ある過去の改正の際には本条項の改正はふさわしくなかったからなのか、どうしてここまで改正提案がなかったのかが疑問です。

 政令・省令レベルでのミスではなく、しかも超・長期にわたって放置されていたとなれば、地方自治に関する基本法として憲法を保管する大きな役割を期待される法律としてはちょっと残念な気がします。

 加えて、この間、毎年改訂される逐条式のコンメンタールを含めて、主要な逐条解説や詳細な地方自治法改正本にも、一切このミスについて言及がないのも不思議でした。改訂作業に当たり、条文に当たっていないのだろうか、というのも気がかりです。

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行政と自治を考える」カテゴリの記事

コメント

通りすがりの省庁関係者のものです。
地方自治法改正はやったことがありませんが(笑)、何百回も内閣法制局に通っている立場から、コメントを。

これは、単純に過去のチョンボ(改正漏れ)に気がついたので今回合わせて改正した、というだけでしょうね。

官報を見ると、平成9年6月4日の自治法改正時に、本来この条項も改正すべきところ、なぜか改正せず(ここの部分の改正は、入省1年生でもわかるくらい明らかなのに自治省担当の法制局参事官がなぜ見落としたのかはなぞですが。)、それがそのまま残っていた、ということですね。

経験上、自治法のような条文数が非常に多い法律になると、一回ちょんぼで改正漏れがあると、それが気づかれることなくそのまま存置されてしまうことが少なくありません。

そして、たまたま同じ条文や近くの条文が改正されるときに、読みあわせをしていて、「あれ?なんかここおかしくない?」となるのです(笑)

>こっそり変えるということにしかみえません。
→木佐先生が霞ヶ関の役人をどう思われているかわかりませんが、「こっそり」というのはちょっとバイアスかかってませんか?
別に隠してやっているわけではなく、法改正の通常の手続きどおりに、改正しているだけですから。

>盲腸のような重箱のスミをつついたような条項であるから誰もこのことに気づかなかったのか(まさか!)、
→まさか、もありえます(笑)
霞ヶ関の役人も、内閣法制局も「人間」であり、時に信じられないようなミスもするんですよ。
ただ、今回のケースの場合、先生が「それとも多数ある過去の改正の際には本条項の改正はふさわしくなかったからなのか、」とおっしゃるように、「気がついていたけど、関連条文を改正するときに合わせて改正しよう」
と考えていた可能性もありますが。

>一切このミスについて言及がないのも不思議でした。
→いや、この程度の条文のこの程度のミスでいちいち言及していたら何ページあっても足りませんよ・・w

投稿: 通りすがり | 2011.08.06 15:48

ご丁寧なコメント、有り難うございました。昨日8月5日に久しぶりに自分のホームページ&ブログを開きました。今日、偶然にコメントを発見。

 しかし、国の法令と最高裁判例を金科玉条にしている方は無数にいますから、ミスがあって当たり前では、困ります。ロー・スクールなどでは、この法令と最判「至上主義」が指導原理ですから、法令を信じている方々は多いのです。法令には矛盾抵触は存在しない、たいていの場合、そこから出発するのですから。

>一切このミスについて言及がないのも不思議でした。

 コンメンタール(逐条解説)の執筆者が10年間も気づいていないというのは、やはりおかしいですよ。条文さえ読まずに書いている、ということの自白でしょ。

投稿: きさ | 2011.08.06 21:10

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