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2011.05.13

行政・自治No.140 正義に適った義援金配分を(その2)

行政・自治No.140 前回の「正義に適った義援金配分を(その1) 」にリンクを張った全国町村会の『町村週報』では、数行しか書けませんでしたが、まず、自治体に配分ないし送金される災害義援金について、少しだけ追加しておきます。

 長崎市では、1982年の大水害の際に多額の義援金が集まりました。この水害義援金が歳入歳計外現金として管理され、このうちの一部が市長により自らの選挙直前に水害被害とは関係のない自治会に配分されたとして争われた事件があります。

 住民によってこの行為が市長自身の選挙活動に支出したものであるとして、市長の損害賠償責任住民訴訟で争われました。

 長崎地裁の判決は、義援金の「配分それ自体により、地方公共団体が利益を得あるいは損害を受けることはない」としています。長崎地判昭59年9月5日『判例住民訴訟』(ぎょうせい)1411・182頁。

 義援金は、それが自治体に寄託された公金と考えるのが自然でしょう。首長の私物(私金)となってよいという趣旨で義援金を出す人はいないはずです。地方自治法の財務一般に関する諸規定の中の「公金」と、住民訴訟で争える「公金」の意味が異なっても何の問題もないはずです。首長その他の者により個人的目的で支出されれば、当該自治体の損害と考えるのが適切でしょう。

 出典:木佐「住民訴訟」杉村敏正編『行政救済法1』(有斐閣・1990年)377頁(脱稿は、1987年)

 この長崎水害住民訴訟事件は、提起の当初より、原告住民の方から協力依頼があり、北大に行ってすぐの事件でしたので思い出深いものです。数え切れないほどの裁判事件のお手伝いをしましたが、敗訴したこの原告数名の方だけからは、事件終了後、お礼をもらいました。長崎産の魚の干物セットです。裁判でお手伝いをしてお礼をもらうことはありませんから記憶に鮮やかです。通常は、難しい事件の場合、弁護団の弁護士から依頼があります。そのような事件は、当該弁護団の弁護士にとっては、手弁当の持ち出し事件が多いですから、研究者が協力する場合も、「無報酬が当然」、という考え方があります。まぁ、そのような事件しか、相談を受けることはないですね。

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