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2011.05.16

行政・自治No.141 正義に適った義援金配分を(その3)

行政・自治No.141 現実には、義援金が寄付した方の意志に沿って使われないという実例を紹介して、今回の東日本大震災で今後いっそう重要になる義援金配分について、失敗例をご紹介しておくことにします。

 福岡県西方沖地震は、2005年(平成17年)3月20日に起きましたが、義援金配分問題は、ずっと長引きました。今でも、ひょっとすると「埋蔵金」になっているものがあるかもしれません。

 2006年8月30日に福岡・地元テレビ局「RKB毎日放送」が夕方6時から流した「今日感テレビ」の特集を述べます。

 この西方沖地震に寄せられた10億2600万円義援金(全体でいくらの義援金が集まったかは、結局、わかりません。この放送は、10億円余の義援金を県が仕切ったという前提から出発しています。)のうち、約8割は被災者に渡ったが、目的外使用や未使用額が多いということをスクープ報道しました。

 このような報道は、本来は、「スクープ」というほどのものではなく、記者が自分の足で歩いて取材をしておれば、そう能力が高くなくても作ることのできる記事やニュースのはずです。役所提供情報しか流さない傾向のある近時の報道としては、とても目立ったのがこのニュースです。それでも、この報道で地道な取材をした女性記者は大変な努力をされました。

 当時のビデオから再現します。福岡県前原市では、市の担当者が「義援金を使い切れなかった。防災グッズも買い切れなかった。老朽化した公民館の建て替え費用に使ったところもある」と述べています。県から前原市に配分された8,300万円のうち500万円だけが被災者に配分されました。そこで、前原市の行政書士・加納義郎氏が、市に住民監査請求をしました。その結末は、まったくわかりません。

 放送では、県に留保された義援金で、役所で預かりになった金、地域の行政区でプールされたままであったりしているようです。今となれば、地域自治会会長のポケット・マネーになったものがないかどうか気になります。

 当時の福岡県地域防災計画には義援金の使途も一応書いてあります。配分委員会委員長は、福岡県の保険福祉部長で、「(家屋の)一部損壊家庭には配分を見合わせた。「以前からの損壊箇所との区別がつかないから」という理由です。「日赤は被害者に届ける」という当時の資料に書かれた言葉も流れていましたが、日赤と県との関係も不明瞭なままでした。

 県では、1日の受講費が5万3千円かかる防災士の養成講座に参加した114人分、計530万円(計算は合いませんが、放送の通り記載)が義援金から支出されています。先の県の配分委員会委員長は、今後の防災対策、災害復旧に役立つので、「義援金の趣旨に沿うものだと考えた」と述べています。

 筑紫野市でも1割しか、個人に配分されていませんでした。

 この日の放送では、2004年(平成16年)10月23日に起きた新潟県中越地震との比較をしています。新潟県では367億円が集まりましたが、大きな議論があり、詳細な義援金配分計画ができたようです。「義援金は被災者への見舞金である」という発想で1ヵ月以内で配分を始めたそうで、詳しく情報公開をしています。そうした先例があるにも拘わらず、福岡県は学んでいなかったのです。

 福岡県は自治体への配分金額以外の内容は、当時は情報公開をしていません。この日の放送で、アナウンサーは、「福岡では、(義援金は)誰に行くかわからないということを心しておかなければなりませんね」という意味の皮肉を言って締めています。 (続く)

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