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2011年8月の記事

2011.08.12

弁No.117 地籍調査の終わっていない地域の宅地は、全戸が最高額の評価?

弁No.117 専門家集団である固定資産税課が総力を挙げて(?)書いた市長名義の弁明書執筆には18日間もの日数が与えられました。他方で、固定資産評価審査委員会に申し出た者には、わずか12日間、郵送の期間を引くと10日間、その間に土日もお盆も入っていてウィークデーは最大に見ても5日間しかない、というきわどい日程で、反論書を提出せよ、というのです。そして、提出しなかったら、市長側の言い分(弁明)内容に異議ないものと認めます、という「脅迫状」をもらっていますから、必死に頑張るしかありません。

 アンパイアたる審査委員会の手続に、そのような大きなミスがありますが、他方で弁明書の内容そのものには、もっと笑ってしまうような内容が。

 「地籍調査が終了していない地区は、土地の境界を示す明確な図面がないため奥行、間口、形状等の個性を価格に反映していない。」

 居直りです。

 全国の地籍調査の実施状況を見ると、大阪府4%、京都府と三重県7%、滋賀県、愛知県、福井県、神奈川県12%、・・・東京都19%で、全国平均では48%です。

 こうして、私が異議を唱えている市の見解に従えば、上記の都市部の都府県では、ほとんど全部、個別の宅地の形状などの調査をせずに、宅地面積に一律に標準額をかけ算していけばいい、ということになります。

 私が所属している専門的メーリングリストに属する数名かの方から、この評価理由についての異論というか、この実務に対する批判的コメントを頂戴しました。ですが、いくら、おかしいと言っても、この市には通じないでしょうね。

 私の実家を一昨年訪問された行政訴訟を多数やっておられる某弁護士によれば、「そのときの実感としては、無接道物件ですよね。ただ、課税庁としては国道(県道?)に面しているのと同等に扱っちゃえ、という話ですよね。」というメールを下さいましたが、まさに、袋地である私の実家宅地は、5.5メートル以上の道路が接道として存在するものとして、標準宅地額の106%として計算されています。

 評価審査委員会は、その現実を知っていても、任命権者の市長側を勝たせるでしょうし、裁判官も同様なのでしょうね。

 昨晩、竹下景子さんのお父さん・竹下重人弁護士の生涯を描いたNHKの番組が放映されており、録画して見ましたが、同弁護士は税務訴訟でほとんど勝つことはなかったが、正義のために争っても裁判実務上は無駄とわかっていても、次々と頑張って訴訟を提起されていたそうです。

 私は、たまたま、1995年10月に名古屋大学の大学院で集中講義をした際に、竹下弁護士と、土地区画整理法などで著名な大場民男弁護士が、一部を受講してくださっていましたが、そのときには、まだ竹下弁護士の税務訴訟のことはあまり存じ上げませんでした。この世代の方は、ほとんどすべてが何らかの形で戦争の傷を背負って生きておられることを改めて確認しました。

 こうなると、松江まで行って、行政訴訟をするしかないのでしょうねぇ。でも、取消判決をもらっても、何の解決にもならない。→ 業界やロー・スクール生の方々へ。 確認訴訟か義務付け訴訟の可能性があるのでしょうか。

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2011.08.09

ローマ教皇(法王)のためのコンサート

 
 バイオリニスト アラベラ・美歩・シュタインバッハーが、今日8月9日に、ローマ教皇のためのコンサートをするのだそうです。場所は、カステル・ガンドルフォというところ。私は聞いたことのない地名。

 いくつかのネット上の資料を見ると、カステル・ガンドルフォは、イタリア中部のローマの南東約25kmにある町だそうです。アルバノ湖に臨む、と言われてもわかりません。

 ラツィオ州ローマ県のコムーネの一つであって、アルバノ山地に点在する中世都市〈カステリ・ロマーニ〉の一つでもあるそうな。人口は8,600人台と言いますから、日本的にはとても「市」とは言い難い規模です。この保養施設には、イタリアの主権が及ばず、バチカン市国の主権のもとにあるといいます。ということは、警備兵は、スイス傭兵ということになりそうですが、正確なところをご存知の方は、コメント欄で教えてください。

 そのカステル・ガンドルフォ町で、今日、8月9日には、アラベラ・美歩・シュタインバッハーは、夏の保養で滞在中のローマ教皇(法王)のためのコンサートに出演する(と、彼女のホームページに書いてあります)。

 ピアノは、Robert Kulek

 行ってみたいですね。それにしても、この8月の彼女の演奏スケジュールといったら・・・。毎日連続で、どこかで弾いているような感じです。

 彼女のミドルネームに対する Wikipedia を始めとする誹謗中傷への批判、従って人格批判については、まとめてまた書きたいと思います。
 このブログも、ひどいことを書いていたが、私信でコメントしたら、ブログ上で弁解を書いた後、全部、削除してしまっています。

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2011.08.08

弁No.116 無法自治体や呆無自治体に争訟的機能を持たせて大丈夫?

弁No.116  こんな裁判官がいたら、どうします?

① 市民である原告が代理人に依頼して訴状を出した。

② 被告行政側から反論書が出た。

③ 初回口頭弁論の日、裁判官が、「2週間以内に、この反論書に再反論書を提出しなかったら、被告反論書の主張に異議ないものと認めます。本日の審理は終わります。」

 その2週間がお盆を挟む8月5日夕方から8月17日役所必着ということにされたら・・・

 市民から受任した弁護士が、もしその期間に夏休みで海外旅行でもしていたら、また、お盆の8月13、14、15日は、土、日、月です。17日必着だとすると、16日に速達で送らなければ17日には届かない。ということは、市民は、平日の8月8日(月)から12日(金)の間に、証拠を集めて、弁護士抜きに、一人で再反論書を一人で書かなければならない。


 現実には、こういうことが起きていて、固定資産評価審査委員会委員長名で、役所(市長名義)の弁明書が私に8月5日夕方の配達便で来ています。それも、たくさんの郵便物が混じっていて、見落としてしまうような普通郵便で。

 なんと、こう書いてあります。

 「○○市長から弁明書が提出されましたので送付します。
 反論の必要があるときは、別紙様式により、平成23年8月17日(水)までに反論書を当委員会に提出してください。
 なお、期限までに反論書の提出がないときは、市長の弁明書に異議がないものと認めますので、ご承知おきください。」

 私は、長~い違法事由を書いた書面(審査申出書)を提出しているのですが、支離滅裂な内容の弁明書が送られてきて、それにさらに反論書を提出しないと、一方的な「負け」になるのですね。
 両方の主張を公平に読んで判断するのではなく、市長の弁明書に反論をしないと、一方的に弁明書の内容が正しいとされる・・・、しかも、期間は、超短期間。こんなことまで、自治体の自治権で、自由に判断できるわけ?

 国の諸機関、諸委員会などで法制度設計に当たっておられる偉い先生方にお願いです。処分庁の提出した弁明書に反論をしないと、弁明書の内容に異議なきものと認められるのですか?

 国民に夏期休暇を取れ、と言っているこの時期に、こんな短い反論期間で手続的正義が、一方当事者の言い分だけを認めますとうい宣言で内容的(実体的)正義が保てるのでしょうか?

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2011.08.06

弁No.115 飯塚市(旧・筑穂町)産業廃棄物施設に関する義務付け判決・上告の可否

Album01 弁No.115 一部、メーリングリストなどで話題になっていますので、補足です。

 この件、2011年3月10日付けの 弁No.114 で義務付け判決が出たことについて取り上げました → こちら 

 その後、福岡県が上告したことについて、福岡高等裁判所が上告却下をしたこと、これに対して県が即時抗告をしたことで行政法業界では話題になりました。この上告却下決定と地方自治法96条1項12号の関係について詳細に論じた方がおられます。 → こちら

 ほかにも、この点を研究された方がいらっしゃるかもしれませんが、調べていません。

 結果的に、最高裁は、2011年7月27日に、県側の抗告を受け入れて、上告審で審理する旨の決定をしたとの報道がなされています。 → こちら   

 決定文を詳しく見ていないので、上告受理の申立を適法としたのか、その他の形かわかりませんが、結果としては三行半の判決になる可能性もあるし、正式に上告棄却か、原判決破棄の認容判決になるのかは、理屈の上では全く不明です。

 現地の写真です。 → こちら (2.49MB)

 院生や若い研究者と行き、反対運動に関わっていらっしゃった一流企業の方に同行していただき解説をしてもらいました。現場の状態に、普通の産廃業者の方も、これはひどい、ありえない、と仰っていました。

 地理的関係を説明しないとわかりませんが、原告になった地元民家とは谷川1つを隔てただけの場所です。現場の雰囲気だけでも、この写真から伝われば。

 正直、よくわからないことがあります。最近の産廃行政は、比較的良心的な産廃事業者・施設をつぶし、どうみてもひどい処理業者・処理施設は放置し、また、産廃戦争の戦線の最前線に市町村を立たせているように思われてなりません。これが「地方分権」の「補完性の原理」の適用・応用なんでしょうか。

 東日本大震災を経験して、いよいよ、産業廃棄物処理場は、上下水道と同じような(準)公共インフラだと思うのですが、適切な産廃行政はいかにあるべきか・・・

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2011.08.05

行政・自治No.143 「自治の肝は制度か人か」

行政・自治No.143 ブログ更新は、2か月以上もできませんでした。自分のブログにコメントが来ているかどうかのチェックさえ、この2か月していません。

 本来は、「正義に適った義援金配分を(その5)」を書かなければなりませんが、それは次回以降に回します。

 さて、すでに発刊後10日も経ちましたが、「自治の肝は制度か人か」という題で、全国町内会の『町村週報』のコラムを書きました。

 『町村週報』表紙自体へのリンク → こちら

 全国町村会のホームページのコラム → こちら 

 ブログで引用されている方も、いらっしゃいます(こちら)が、私は、野犬のように「吠え」たりはしていないつもりです。もうちょっと、上品に書いてね。
 ですが、目にしていただいて有り難い限りです。町村週報が回覧される自治体も、あるにはあるのですね。初めて聞きました(正確には、読みました)。

 ごく自然に、事実をありのままに描いただけのつもりです。

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