弁No.117 地籍調査の終わっていない地域の宅地は、全戸が最高額の評価?
弁No.117 専門家集団である固定資産税課が総力を挙げて(?)書いた市長名義の弁明書執筆には18日間もの日数が与えられました。他方で、固定資産評価審査委員会に申し出た者には、わずか12日間、郵送の期間を引くと10日間、その間に土日もお盆も入っていてウィークデーは最大に見ても5日間しかない、というきわどい日程で、反論書を提出せよ、というのです。そして、提出しなかったら、市長側の言い分(弁明)内容に異議ないものと認めます、という「脅迫状」をもらっていますから、必死に頑張るしかありません。
アンパイアたる審査委員会の手続に、そのような大きなミスがありますが、他方で弁明書の内容そのものには、もっと笑ってしまうような内容が。
「地籍調査が終了していない地区は、土地の境界を示す明確な図面がないため奥行、間口、形状等の個性を価格に反映していない。」
居直りです。
全国の地籍調査の実施状況を見ると、大阪府4%、京都府と三重県7%、滋賀県、愛知県、福井県、神奈川県12%、・・・東京都19%で、全国平均では48%です。
こうして、私が異議を唱えている市の見解に従えば、上記の都市部の都府県では、ほとんど全部、個別の宅地の形状などの調査をせずに、宅地面積に一律に標準額をかけ算していけばいい、ということになります。
私が所属している専門的メーリングリストに属する数名かの方から、この評価理由についての異論というか、この実務に対する批判的コメントを頂戴しました。ですが、いくら、おかしいと言っても、この市には通じないでしょうね。
私の実家を一昨年訪問された行政訴訟を多数やっておられる某弁護士によれば、「そのときの実感としては、無接道物件ですよね。ただ、課税庁としては国道(県道?)に面しているのと同等に扱っちゃえ、という話ですよね。」というメールを下さいましたが、まさに、袋地である私の実家宅地は、5.5メートル以上の道路が接道として存在するものとして、標準宅地額の106%として計算されています。
評価審査委員会は、その現実を知っていても、任命権者の市長側を勝たせるでしょうし、裁判官も同様なのでしょうね。
昨晩、竹下景子さんのお父さん・竹下重人弁護士の生涯を描いたNHKの番組が放映されており、録画して見ましたが、同弁護士は税務訴訟でほとんど勝つことはなかったが、正義のために争っても裁判実務上は無駄とわかっていても、次々と頑張って訴訟を提起されていたそうです。
私は、たまたま、1995年10月に名古屋大学の大学院で集中講義をした際に、竹下弁護士と、土地区画整理法などで著名な大場民男弁護士が、一部を受講してくださっていましたが、そのときには、まだ竹下弁護士の税務訴訟のことはあまり存じ上げませんでした。この世代の方は、ほとんどすべてが何らかの形で戦争の傷を背負って生きておられることを改めて確認しました。
こうなると、松江まで行って、行政訴訟をするしかないのでしょうねぇ。でも、取消判決をもらっても、何の解決にもならない。→ 業界やロー・スクール生の方々へ。 確認訴訟か義務付け訴訟の可能性があるのでしょうか。
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