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2012年4月の記事

2012.04.30

行政・自治No.149 『自治基本条例は活きているか!? ニセコ町まちづくり基本条例の10年 』 刊行

120423niseko10jahre 行政・自治No.149 数日前、2012年4月27日頃、木佐茂男・片山健也・名塚昭(編)『自治基本条例は活きているか!? ニセコ町まちづくり基本条例の10年 』(公人の友社)が刊行されました。店頭に並ぶのは、連休明けになるかと思います。

 この チラシ の2ページ目にあるような目次で、基本的に私と現・ニセコ町総務課長・加藤紀孝氏、現・ニセコ町長・片山健也氏との対談、同まちづくり基本条例制定10周年シンポジウム逢坂誠二氏らがパネリスト)と条例解説などからなる280ページ程度の本です。

 企画を私の方から持ち出して4年半の歳月を要しました。地元町民の方々に書いていただいた原稿は2008年現在のものです。いかに対談中心の本とはいえ、編集作業は容易ではありませんでした。

 正直、よくまぁ出来たなぁ、という感じです。

 現在は、第二世代または第三世代の自治基本条例が制定されてよい時期に来ていると思いますが、どうも退行している条例も出現しているようです。また、論点が、外国人を中心とする住民投票制度の可否、賛否に絞られているような自治体もあるようです。

 条文の数が多ければ良いという問題ではありませんが、ニセコ町まちづくり基本条例が57条もあるのに対して、最近ではわずか15条しかない自治基本条例も制定されようとしています。仮に15条であっても、それで、自治体が市民のために、きちっと動くためのタマシイと仕組みを書き込んでいればいいのですが、どうも、そうではなさそうな感じがします。

 ある意味で、自治基本条例・まちづくり基本条例の危機とでも言える現象がありそうです。

 そうした中で、本書は、着実に一歩一歩、前へ進むニセコ町の町政、町民の活動の様子がわかるのまちづくりを知ることで、自治基本条例・まちづくり基本条例を制定した自治体、あるいは、これから制定する自治体にとって道しるべになるのではないか、と思います。

 期間限定で、業界ルール違反?となるような「まとめ買い割引」が添付PDFファイルの1枚目です。印刷して、記載のうえ、直接、出版社にファクスでご注文下さい。

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2012.04.28

行政・自治No.148 韓国地方自治法学会・韓国法制研究院との共催シンポ無事終了

120427busan22dsc_4441 120427busan11dsc_4325行政・自治No.148 釜山市内にある東亜大学を会場に開催された韓国地方自治法学会・韓国法制研究院との共催シンポは、27日と28日で終わりました。100名以上が参加するものとなり、日本側からの4名の報告と4名のコメント、さらには会場発言などもあり、非常に充実したものとなったと思います。

 今後、さらに、突っ込んだ意見交換の必要性を感じさせるものでした。まぁ、疲れましたので、今日は報告のみにて。

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2012.04.27

弁No.121 一部の議員の政争絡みで、大学は懲戒処分をするハメに

弁No.121 長崎県立大学教授懲戒停職処分無効確認(地位確認)訴訟で、大学側が敗訴する一審判決が出た2週間後に開催された平成23年12月13日の「平成23年11月長崎県議会定例会予算特別委員会(文教厚生分科会)」に証人として呼び出された大学専務理事(処分時の事務局長。長崎県学事文書課長からいわば処分執行を業務内容として出向していた人)が、百条委員会を設置して問題を作り上げた議員らから追求されている場面です。

 原告の教授側から、甲294号証として高裁に提出された証拠からの引用です。

 原告(被控訴人)の証拠説明書:「控訴人専務理事らが、長崎県議会の委員会に参考人として呼び出され、第1審の主張について非難を受けるとともに、本件裁判について県議会議員が控訴人を強く後押しをしていること及び控訴人が、被控訴人の兼業による大学業務への支障がなかったと認識していることを答弁していること等。」

 その中でも傑作なのは、次の部分=県議会委員会議事録 です。


小林克敏議員:

 「私は、率直な話だけれども、この久木野氏に付いている弁護士は、まれに見る腕の利く弁護土だ、これは。正直に言って。」

 「裁判所の認定の仕方がおかしいのか、要するにあちらの弁護士の腕がいいのか、それともこちらの戦い方が、失礼だけれどもちょっと弱いのかと。」

 「裁判というのは、私は幾らか経験をしているから言うんだけれども、やっぱり戦略だよ。戦略をきちっとやっでいかないといかんよ。だから、そうやって高裁まで控訴したことが事実になったわけだから、もっと主張すべきところは主張して、相手の弁護士に負けないぐらいの体制を組んで、これは、もうただ帳面消しで議会から言われてやっているんじゃないんだから、あなた方がこうやって無断欠勤ということを認定したがゆえに、こうして訴えるに値するということで、訴える価値があるということの中でやっているわけだよ。まだ事実関係について争うべき内容を、主張すべき内容を主張していないというところに正直言って不満を感じる。」


 この小林議員が、「幾らか経験をしている」裁判という裁判の内容は、「小林克敏」と「裁判」または「逮捕」で検索をすると、よくわかります。

 同氏は、最近、長崎県議会にまたもや設置された百条委員会でも活躍中です。その百条委員会の委員長と小林議員は、2012年3月10日付け「長崎新聞」「諫早入植問題で証人が百条委員ら提訴」によると、強要未遂と傷害の疑いで長崎地検に刑事告訴され、同時に、実質的に両名(形式的には県も被告)に計1100万円の損害賠償を求める訴訟の被告となっています。

 教授も、損害賠償請求をするだけの立派な資格がありそうです。1日8時間近く正面から、あるいは至近距離から数社のテレビ・カメラが写し続けている中で、ただただ、反問権もないまま、質問者の納得がいく発言が出るまで続けている拷問のようでしたから。私も、教授が証人となった長崎市と長崎県の百条委員会の全時間に補佐人として付きましたが、大変に疲れました。いわんや当事者をや。

 今回の労働裁判事件は、実は、地方自治のあり方大学の自治、が根本から問われている事件でもあります。

 ちなみに、大学側はただちに上告する旨の発表をしています。最後まで正義の主張を貫くことは大事ですが、すでに膨大な額になっている弁護士費用をさらに支出することは県民や県立大の学生の目からみていかがなものでしょう。もし、この大学が法人化しないで公立学校法人になっていなければ、住民監査請求から住民訴訟も起きたでしょう。合計4つの裁判を起こし、今まで8つの判決・決定をもらった私の方は、法律事務所に着手金も報酬も全くもらっていないのですが(原告が起こした大学ベンチャー事業が倒産し、連帯保証をしていた原告も個人破産手続を取ったため無資力)、負けても多額の報酬が事務所に入る方をうらやましく思いますね。

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2012.04.26

弁No.120 長崎県立大学教授懲戒停職処分無効確認(地位確認)訴訟で高裁判決

弁No.120 2012年4月24日、福岡高裁で標記の事件につき判決が言い渡されました。第1回目の口頭弁論期日で結審となっていたものです。

 結論は、長崎地裁の原判決を維持したうえ、定期昇給が認められていないことによる、一審判決以降のボーナスや月給の差額を認めるものでした。一審原告である教授のほぼ全面的な勝訴となりました。

 今回の判決は、一審裁判所が主として実体面での処分の違法・無効を認めたのに対して、懲戒処分に至る手続面でのひどさを指摘して、処分の無効を導いています。事前手続の重要性が認識されたものと言えるでしょう。

 この事件の原告教授を支援する会のホームページ「長崎県立大学で起きた懲戒処分事件の謎」は、すでに、本控訴審判決や、今日(4月25日)付けでいっせいに出された地元・長崎のマスコミ記事にリンクを張っていますので、判決文はそちらのバージョンをご覧下さい。
 → こちら 

 教授の判決後記者会見におけるコメントも載っています。

 なお、次回は、本事件が生まれた事情を側面から明らかにする長崎県議会文教厚生委員会の議事録を見てみましょう。

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2012.04.25

行政・自治No.147 釜山で「日韓地方自治法シンポジウム」を開催

行政・自治No.147  明後日(2012年4月27日・金曜日に、韓国地方自治法学会のご招待を受けて、昨日(2012年4月24日)付けでご紹介した科研費研究「地方自治法のパラダイム転換」研究会との共催の形により、韓国・釜山市にある東亜大学・国際会議室で、シンポジウムを行うことになりました。 → プログラム

 韓国の先生方が3名、この日本側研究会のメンバーである関係から,実現するという経緯もあります。

 日本からは10数名が参加し、日本側からの研究報告は4本です。

 本来は、今後のロースクールにおいて行政法や地方自治法の教員になってくださる可能性が非常に高い若手の弁護士などを誘いたかったのですが、案内をする余裕もなく今日に至ってしまいました。

  韓国では,土日の休日が定着しており、学会を週末(土日)に開催することは不可能、ということで,金曜日開催となりました。日本の大学研究者にあって、土日がほとんど塞がっているのと好対照をなしています。

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2012.04.24

行政・自治No.146  「地方自治法制のパラダイム転換」研究会

120331jurfacultynews 2011年度の文部科学省科学研究補助金基盤研究(A)が採択され、「地方自治法制のパラダイム転換」に関する研究活動を行っています。

 現在2年目に入ったところです。昨年の11月に九州大学で行った第2回全体研究会の模様を含む研究会の紹介が九州大学法学研究院の『法学部ニュース』で紹介されました。 ニュース本文は → こちら

 構成メンバーとしては、大学研究者のほか、主要マスコミの編集委員や論説委員、地方自治関係出版社の編集長、議員、自治体職員、その他、総計41名の規模で、研究活動を進めています。主要なメンバーとしては、阿部泰隆教授(現・弁護士)や碓井光明教授らがおられます。

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