iPS細胞使用手術?事件 「肩書きバブル」
この件、すでに大報道が続き、語るほどの話ではなくなっているような気もします。が、「やはり起きたのか」というのが「肩書き」使用の部分です。
私の勤務先でも、似たことは起きるのではないか、と危惧して、画像のようなパワーポイントを用意していました。わが社には、「教授」がなんと、私が数えることができた限りにおいてですが、少なくとも14種類もあります。もう少しあるかもしれませんが、よくわかりません。どうも称号と職名などの違いもあるようです。2文字だけの「教授」が最も肩身が狭いような感じさえ。
この画像は、2012年7月に水戸市で開催された全国自治体法務合同研究会の初日・公開シンポジウムの席上で参加者にお見せしていたものです。画像は、クリックで大きくなります。(追記: 7月に自治体法務合同研究会でプレゼンしたときは、教授の肩書きは12種類でした。今回、少し調べたら、さらに2つあることがわかりましたので、14種類になっていますが、まだほかに、○○准教授という肩書き・称号などがあるかもしれません。本当に分かりません)
くだんの研究者は、東大の特任教授や特任研究員などのポストにも就いていたといいます。
まず、朝日新聞の10月14日付けの記事をかいつまんで整理しますと、「「特任」とは特定の研究を目的とする寄付口座や研究プロジェクトに雇われるポストで、「准教授」や「教授」に比べると選考がかなり甘い。実質的にプロジェクト代表者の一存で決められる。M氏を東大病院の「特任研究員」に採用したのは助教(かつての助手)だった。国立大学の法人化や定員削減の影響で寄付講座が増え、「特任」や「客員」も増えている。M氏はそうした「肩書きバブル」をうまく活用したようだ。」
実は、わが勤務先法人にも、大学本部直接採用(と法学研究院教員は受け止めている)の正式な「教授」が何人もおられるのではないかと思います。この点も下々にはよくわかりません。中には、私に「論文の書き方がわからないから、指導して欲しい」との依頼があったことがあります。私は、丁重に「あなたは、正式かつ厳格な大学本部の教授採用人事で論文審査を経て採用されたのでしょうから、もはや論文執筆指導を受ける必要はないのでは」と申し上げ、そのご依頼を断ったことがあります。
今回のiPS事件のことは、全国の大学で名刺詐称事件が起きる可能性があることを示していますし、M氏は、私の言う国立大学「呆人化」のある意味での犠牲者なのかもしれません。もとよりご本人に大きな責任があることは言うまでもありませんが。
ちなみに、私の勤務先の主幹教授制度や特別主幹教授制度の根拠規定は、公開されている大学の規則集には載っていません。わが社で40年勤続という人事の専門家の方は、数日前、規則集に載っている、と言っていましたが・・・
「九州大学主幹教授制度について」(平成21年2月23日総長裁定)、「九州大学特別主幹教授に関する要項」(平成21年10月1日実施)が根拠となっていて、前者は総長裁定という一種のカテゴリーの表示がありますが、後者は、文書の種類の特定さえ行われていません。
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