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2014年2月の記事

2014.02.24

自治・行政No.162 「小さな村の物語 イタリア」

140217chiisanamuranomonogatariitari いつも、日本の農山漁村の風景を念頭に置きつつ、ヨーロッパの津津浦浦の美しい町村が、なぜそうなのか、を気にしています。

 いわゆる限界集落、耕作放棄地、見苦しい空き家・工作物、鳥獣被害防止の電気柵などが生まれない本当の理由はいまだよくわかりません。

 しかし、私が訪れる範囲内の西ヨーロッパ各地は、なぜか美しいです。地方自治制度が立派、あるいは、町や村に自治権がたくさあると美しくなる、というわけでもなさそうです。

 今回は、イタリアものをBSテレビで見ていることを契機として、イタリアのこと、そして昨秋、仕事で訪ねた台湾南部の県庁で聞いたことを少し書いてみました。

 「〔コラム〕小さな村の物語 イタリア」『町村週報』2870号(2014年2月17日)1頁 → こちら(PDF)  

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2014.02.23

弁No.125 このごろの裁判所論・裁判官論

Shihoukenryokunouchimaku Zetsubounosaibansho511yiqyefyl 実に4か月を超えてのブログ更新です。なんか、年に数回更新ペースになっているみたいです。もともと論文を書く代わりにブログを始めたのですから、少し、書く頻度を高めます。

 このところ、日本の裁判所に関して、注目すべき、書籍・論稿が出つつあります。ここでは、3つの論文・新書のみ取り上げます。〔2〕と〔3〕は、私どもからすれば、日本の裁判所の中枢に近いところにいたと考えられる二人の元・裁判官による裁判所批判に満ちた新書です。

 刊行・出版順に言えば、次のとおりです。

 〔1〕
 宮川光治「時代の中の最高裁判所」自由と正義64巻6号(2013年)20-26頁(なお、東京弁護士会の会誌『LIBRA』2012年6月号(12巻6号)20-23頁にもインタビュー記事あり)

 〔2〕
 森 炎(もり ほのお)『司法権力の内幕 (ちくま新書)』 (筑摩書房、2013年12月10日初刷刊行)

 〔3〕
 瀬木 比呂志『絶望の裁判所(講談社現代新書)』(講談社、2014年2月20日初刷刊行)

 〔1〕は、かつて青法協(青年法律家協会)に所属され、その後、司法研修所教官を務められ(その当時、私は、正式にインタビューさせていただきました)、さらに、最高裁判事を務められた現・弁護士による論稿。文献渉猟も十分になされたうえで、同氏が最高裁判事であった時代の最高裁、最高裁事務総局、内閣法制局への大きな信頼を述べ、日本の司法を完全に賛美される論稿です。

 これに対して、〔2〕は、自動機械化された司法囚人として裁判官を描き、〔3〕も文字通り、「絶望の裁判所」を語り、旧ソ連に例えたり、「目に見えない檻のようなもの」(110頁、「ソフトな収容所群島」(113頁)、「全体主義的共産主義的体制に非常によく似ている」(118頁)と言われています。〔2〕も随所で、裁判所の絶望的状態を描写されています(「絶望的な、あまりに絶望的な実態」214頁)から、両著は、「絶望」裁判所シリーズになっています。

 〔3〕については、何枚もの著者の写真入りインタビュー・コメントがあります。関心のある方は、早めに魚拓を取っておくべきでしょう。コピーしてワードに貼り付けるだけで写真も保存できます。
 

 〔3〕では、宮川弁護士も所属されていた青法協狩りを「ブルー・パージ」と称して(第二次大戦後のレッド・パージとひっかけてある)、その成果を嬉々と語る最高裁判事らの話が出てきますが、〔1〕で宮川弁護士は、「最高裁は予想以上に自由で、聞かれていた。審議ではおおいに議論ができ、爽やかな人間関係であった。裁判官会議も積極的に問題提起をすれば(もっとも、その余裕はなかなかにないが)、議論できた。(改行)最高裁は1970年代のころと比較すると明らかに変わったと思う。」とされています。

 逆に、〔3〕の瀬木・元裁判官は、2000年代以降に、裁判所、裁判官集団の官僚化、セクハラ・パワハラ等が急速に進行・増加したと書かれています(35,51,52,75,174頁)。

 この〔1〕 対 〔2〕〔3〕の極端な違いはどこから来るのか、そのことへの関心が、4か月ぶりにブログを再開する契機です。

 本論(と言ってもたいしたことは書けませんが)を書く前に今ひとつ、自分なりに整理しておきないことがあるので、それは、次稿にします。
 「二〇〇〇年代の司法制度改革が・・・事務総局中心体制を無傷のまま温存してしまった」(117頁)のはその通りですが、「温存」のために事務総局がどれほど「司法改革つぶしに頑張った」のか、若干の資料はありますので、これから検証を開始しなければならないでしょう。

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