カテゴリー「Libra の弁護士日記」の投稿

2020.12.10

防衛大学校人権侵害訴訟の控訴審逆転判決

Img_1698_20201210121301 Img_1696_20201210121301 Img_1694  〔2020年12月21日付記〕新たに,気づいた雑誌記事を追加します。『週刊金曜日』で報道がされました。

昨日,「防衛大学校人権侵害訴訟」の控訴審判決が言い渡され,一審判決が覆され,逆転勝訴となりました。安全配慮義務の主張と国賠法の適用の範囲問題という難しい論点をクリアーし,加害者個人の責任も認め,法人としての国(防衛大学校)の責任をも認めるという,国賠法に関する現在の通説・判例では難しい壁を乗り越え,研究者・実務家には,一定の問題提起をする裁判例になったような気がします。

 控訴審の5人の弁護団は,平均年齢で60歳をいささか超えており,老人弁護士集団と若い国指定代理人との戦いでした。

 今後,判例評釈などでは,個人被告判決と国被告判決の関係も含めて、相当の議論になると推測します。

 

 地元の司法記者は,それこそ熱心に取材を重ねておられましたが,今朝になって数時間使い,どのように報道されているか整理をしたのが,以下のリストです。以下の記載にミスがあれば,迅速に訂正をしますので,ご教示をお願いします。特に,全国紙といわれる新聞で,簡略ではあれ,本当に「全国」向けに記事が載ったかどうか,気になっております。

 私が,NHKは,19時と21時のニュースでは,逆転勝訴の場合,報道しないのではないかと推測し,懸念しておりましたが,どうも(実際には,19時も21時も自宅でテレビを見ておりませんが,確認してもらっている範囲内では)全くニュースとして報道されなかったようです。由々しいことと思います。

201210 6:00 は,2020年12月10日 午前6時00分を意味します。

昨夕の段階では,ローカル紙の報道も検索でヒットしておりましたが,今は,Google や,Edge でもほとんどヒットしません。

全国紙では,おそらく、福岡ローカルの新聞記事のサイズより小さいのではないかと思います。情報をお寄せ頂きますと,弁護団としては大変有り難いです。ご連絡は,木佐法律事務所のウェブサイトから,送信フォームを使っていただきますと幸いです。

 

【雑誌】

『週刊金曜日』(2020年12月18日号・通巻1309号)

 「(防衛大学校の虐待対質を司法が糾弾,国の責任認める)福岡高裁で元学生が逆転勝訴」(三宅勝久)

 

【新聞】

西日本新聞 201210 6:00
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/672020/ (紙面がはるかに詳しいです)

NHK WEB  201209 19:08
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201209/k10012755481000.html

毎日新聞 201209 23:30更新
https://mainichi.jp/articles/20201209/k00/00m/040/186000c
 Yahooニュースに転載

朝日新聞
 いくら検索しても見つかりません。 →(ご指摘いただきました)有料・会員記事があるようです。

 https://www.asahi.com/articles/DA3S14725927.html?fbclid=IwAR3ZjKwweih1SIFVxnmP0IzgjyDk3epEJ5NBYerJqOIff-pubWIkFy2Gsks
 紙面記事が検索で出るようになりました(201211 06:00確認)。https://www.asahi.com/articles/DA3S14725927.html
 201211 09:10確認。 デジタルニュースも検索でヒットするようになりました。

読売新聞 201209 21:03
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201209-OYT1T50221/

日本経済新聞 201209 23:22更新 (共同通信配信)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC0976H0Z01C20A2000000

新聞赤旗   201210
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-12-10/2020121001_03_1.html

 

【テレビ・映像】

日テレNEWS24  201209 23:08
https://www.news24.jp/articles/2020/12/09/07782867.html

FBS福岡放送(YouTube版)
https://youtu.be/SXcKQsccHjo

KBC  201209 23:57
防大いじめ訴訟で逆転勝訴国に270万円支払い命令
https://kbc.co.jp/news/article.php?id=6012424&ymd=2020-12-09

RKB (YouTube版)
https://www.youtube.com/watch?v=k0zF-FB-QoI

NHK 福岡 NEWS WEB  201209 18:53
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20201209/5010010218.html

 

テレQ

http://www.tvq.co.jp/news/news.html?did=2020120900000002  (すでに非公開)

キャッシュ ページが見つかりました。以下は、2020/12/09 時点 (クローラーが最後にアクセスした時点) で表示されていた Web ページのスナップショットです。これは、検索結果のランク付けのために使用されたページのバージョンです。実際のページは、最後にキャッシュされた状態から変更されている可能性があります。

 

【その他・資料】

■防衛大人権侵害裁判に提出された証拠■

https://boueidai-jinken-bengodan.jimdofree.com/ 

 

 裁判所配布の判決要旨,弁護団声明は,場合によっては(精査のうえ),お送りできるかもしれません。

| | コメント (0)

2020.11.22

新しいホームページを公開しました

Img_e0203a   木佐法律事務所のHP(ウェブサイト)の公開について

 2020年の11月3日(偶然ですが,日本国憲法制定日),木佐法律事務所としてのウェブサイトを試行公開しましたが,ある程度のパソコン用とスマホ用の整理もできましたので,11月22日付けで,一応,「暫定公開」の文字を削除することに致します。
 新サイトは, https://www.kisa-law.com となります。

 まずは,私の研究活動の総括である最終講義の映像(約100分)を,229枚のスライド画像とともに掲載しました。これによって,今の日本の司法と地方自治の状況も、外国との比較で視覚的にわかるのではないかと考えます。

 現時点での内容は,いたって言葉足らず,言葉の行き過ぎの部分も少なくないことは承知しておりますが,以下の趣旨で,ウェブサイトを設けることにした次第です。

 私がこれまで計4か所の法律事務所に所属しましたので,現在でも,どこに勤めているかわからないこともあり,また,私が勤務先変更をお伝えし切れていないコンタクト先が少なくないことや,ネット上では過去の勤務先がヒットすることもある,という諸事情から独自のウェブサイト立ち上げも必要でした。

 しかし,今回のサイト立ち上げは,大学退職の日をもって,それまで毎日のごとく加筆をさせられてきた『九州大学研究者情報』が,完全削除され,九州大学のホームページから,それまでの研究・教育情報,社会貢献情報などの一切が消滅しました。大学にとっては,退職教員の研究データ・ベースも一種の資源だと思うのですが,退職したら「不要な人間」扱いされ,ネット世界から,研究者情報は,文字通り瞬時に消えました。
 手元に残ったデータを再構成し,同時に,私がメインの研究テーマとしてきた「司法改革」や「地方自治」は,21世紀には素晴らしいものになっているはずと1990年代の最後の5年間には期待していました。しかし,「失われた10年」が「失われた20年」になり,平成の終焉とともに「失われた30年」が過ぎ,いまや「失われた40年」コースに入っているとしか考えられません。

 日本の人口減少,高齢化,経済の停滞,国際的な評価・地位の強烈な低下を前提にしますと,仮に日本が国家ないし国土として残っていても,その回復には50年はかかると考えます。30年間程度で回復できるとは思えません。

 日本に対する国際的評価が下がってきた経過を振り返り,今後,何に力を注げば50年後の回復が可能か,その課題について、私がもっぱら研究対象としてきた裁判制度(司法改革)と地方自治(法),行政法に関するだけですが,今まで行ってきた研究内容を残すべく,普通に弁護士が設けるホームページ(ウェブサイト)とは趣きの異なる「研究業績遺産展示場」として,本サイトを使って参ります。
 その意味で,最高裁が,とりわけ1999年頃,事務総局を挙げて行ってきた「反司法改革」の策略などを、長く後生に残すように,また,私の没後にも数十年は,このウェブサイトが残るように,経費の継続的支払い手続をしていただけるよう理解と熱意のある若い人財の発掘と資金の前渡しを行っておく準備をしています。
 熱気あふれた1990年代後半,すなわち21世紀に入る直前に頂点に達したとも思える司法改革や地方分権改革のさまざまの動きをカラー写真画像と,新規にパワーポイントに書き加える説明により残しておきたいと考えています。果たして,時間が足りるかどうか、問題ですが。

| | コメント (0)

2016.09.20

『「司法改革」論議から司法制度改革へ 改めて「司法改革」へ』

161105shihousympoomote_3 161105shihousympoura_2 今年(2016年)11月5日(金)に、日本弁護士連合会が2年に1回開催する「司法シンポジウム」が東京・日比谷公園に面した日弁連会館で開催されます。画像はそのシンポの表と裏です。

 第27回目の今回のタイトルは、「いま、司法が果たすべき役割とは ― 法の支配の確立をめざして」となっています。

 その全国規模のシンポジウムのプレ・シンポが、この9月16日(金)の夕方に京都弁護士会主催でありました。基調講演をさせていただきました。そのプレ・シンポのマスコミ向け案内と市民ほか一般参加者向けのチラシを掲載しておきます。
 
 私の講演タイトルは、『「司法改革」論議から司法制度改革へ 改めて「司法改革」へ』というものでした。

  一般参加者向け           → こちら
  マスコミ向け(プレス・リリース)  → こちら

 30年来、20年来の知人である京都、大阪・兵庫の弁護士、元・裁判官の弁護士の方々が懇親会に参加してくださり、大変懐かしく、また有意義な会話をさせていただきました。

| | コメント (0)

2015.07.07

弁No.129 弁護士法人 九州リーガル・クリニック法律事務所の無料法律相談

弁No.129 私が所属します 弁護士法人 九州リーガル・クリニック法律事務所 では、この(2015年)8月8日(土曜)に、13時から16時まで無料法律相談を行うことになりました。

 今回は、主として働く人の法律問題労働法上の相談を受け付けます。民間企業の社員、パート労働者、あるいは公務員だけではなく、あらゆる職種の方の労働に関する問題についてご相談に応じます。事前に、法律事務所宛てに電話でご予約ください。

 1件のご相談につき、1時間を確保し、労働法が専門野田進弁護士(九州大学法学研究院教授)が主として相談にあたりますが、各ご相談について当事務所に所属し九州大学において法曹養成に携わる弁護士も同席して2名体制で対応いたします。

 詳しくは、当法律事務所のホームページでのご案内 及び 別紙のPDFファイル をご覧ください。

| | コメント (0)

2015.03.23

弁No.128 最終版!?『テキストブック現代司法〔第6版〕』刊行

150213gendaisihou6auflmit弁No.128 本の奥付では、2015年3月20日発売になっていますが、しばらく前から、店頭にこの本が並んでいるはずです。共著『テキストブック現代司法〔第6版〕』(日本評論社)(2,900円+税)です。


 初版が1992年2月20日刊行ですから、帯の言葉にもあるように、「四半世紀にわりた読み継がれ」というのは、まんざらウソでもないかも・・・です。

 帯には、さらに、「<司法改革>先駆けの名著」とありますが、これは編集部や営業部が考えられたことなので、執筆者が知ったことではないですが、「あなたの関心こそが「司法改革」の希望の光」というのは事実だろうと思います。

 実は、第4版を出したのが、2000年4月。そのときは、司法改革も司法制度改革もどうなるか見えていませんでした。その後、9年間ロー・スクール(法科大学院)の設置と新しい教育義務に巻き込まれ、書くヒマもなければ、客観的評価もできない司法漂流もどきの長い期間。そして、2009年第5版を出したときは、当面の変化について、旧版の穴埋めをしたにとどまる感じで、まだ、ロー・スクールのこれほどの激変、弁護士業界の不景気?(というより、司法界全体の不景気)もしっかりとした予測はできていませんでした。今回は、章や節も大幅に入れ替え、従来にない大きな改編です。「法教育」など新たな項目もずいぶん加わりましたし、あるべき司法実現の課題として、最初や最後に、今までにない基礎的なことがらも書くしかない、という事態に見舞われました。21世紀に入るまでは多数あった司法に関する研究書も激減した感じで、それは共著者全員の感想です。

 『絶望の裁判所』を書いた瀬木比呂志・元裁判官が最近著された『ニッポンの裁判』(2015年1月)が話題になっています。エピソードとしては我々執筆者が知らなかったことがあるとはいえ、ほとんどのことは、この『テキストブック現代司法〔第6版〕』には書いてある、と自負しているところです。

 教科書的なレベルでまず類書はありませんので、手にとっていただければと思います。

 最高裁による情報公開の縮減も、写真入りで紹介しています。今後、このブログでは、テキストにページ数の関係で書けなかったことを原稿から抜き書きしたり、別の小さな論稿にして掲載する可能性が大きいです。

| | コメント (0)

2015.03.20

弁No.127「 償い」

131215_tsugunaichousonshuuhouno2902弁No.127  6か月ぶりのブログ更新です。毎日、何か書きたいこと、書くべきことはあるものの気が進みませんでした。

 全国町村週報のコラムに昨年12月に載せたものを、今頃になって転載します。原文は、いつもの町村週報のコラムと同様に約3倍の文字数で書いて、無理矢理、短縮化したものです。

 念頭に置いていたのは、長崎県で起きた高校生女子による家族殺人事件。ですが、同様の悲惨な事件はほとんど毎日のように起きています。

 加害者とされる人は、実は、人生の多くの場面で被害者ではなかったのか、そして、今、被害者だと自己認識している人もいつ気付かないままに加害者になっているのではないか。

 自分自身の過去を振り返ってみて、そういう思いをずっともってきたので、さだまさし氏作詞・作曲の「償い」を媒介に書いてみたものです。東京地裁の法廷で裁判長が「償い」のことを刑事事件の被告人少年に言われた話は有名です。後で、記事を追加するかもしれません。
 → コラム(PDF版

 全国町村会のコラム欄にも、過去の全コラムが載っています。最新のものが最上段です。
 → 『町村週報』コラム(木佐)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.06.18

弁No.126 弁護士法人九州リーガル・クリニック法律事務所のホームページ公開

041203klc_tatever_3 Times_new_roman_ps_3 041128klc_3 041128klc_9弁No.126 弁護士法人九州リーガル・クリニック法律事務所のホームページが、この2014年6月13日に公開されました。私ともう1名は、ホームページのトップの写真に入っておりませんが、集合写真撮影時に参加できなかったためです。
 ホームページづくりは、10年前の当事務所設立時から準備していて、ここに挙がっているロゴは、文字列も縦・横いろいろ、幅も真四角から縦長、横長などのバージョンを当時の院生に作ってもらって、その中から、現在まで封筒やレター用紙に使っているものを選びました。新しい事務所ホームページでのロゴもこれまで使ってきたものと変わりません。
 一昨日、公益性のある小さな額の大きな内容の事件に事務所弁護士3名で勝訴しました。これについては、次の記事で。
041201klc_logo_5 041128klc_8

| | コメント (0)

2014.02.23

弁No.125 このごろの裁判所論・裁判官論

Shihoukenryokunouchimaku Zetsubounosaibansho511yiqyefyl 実に4か月を超えてのブログ更新です。なんか、年に数回更新ペースになっているみたいです。もともと論文を書く代わりにブログを始めたのですから、少し、書く頻度を高めます。

 このところ、日本の裁判所に関して、注目すべき、書籍・論稿が出つつあります。ここでは、3つの論文・新書のみ取り上げます。〔2〕と〔3〕は、私どもからすれば、日本の裁判所の中枢に近いところにいたと考えられる二人の元・裁判官による裁判所批判に満ちた新書です。

 刊行・出版順に言えば、次のとおりです。

 〔1〕
 宮川光治「時代の中の最高裁判所」自由と正義64巻6号(2013年)20-26頁(なお、東京弁護士会の会誌『LIBRA』2012年6月号(12巻6号)20-23頁にもインタビュー記事あり)

 〔2〕
 森 炎(もり ほのお)『司法権力の内幕 (ちくま新書)』 (筑摩書房、2013年12月10日初刷刊行)

 〔3〕
 瀬木 比呂志『絶望の裁判所(講談社現代新書)』(講談社、2014年2月20日初刷刊行)

 〔1〕は、かつて青法協(青年法律家協会)に所属され、その後、司法研修所教官を務められ(その当時、私は、正式にインタビューさせていただきました)、さらに、最高裁判事を務められた現・弁護士による論稿。文献渉猟も十分になされたうえで、同氏が最高裁判事であった時代の最高裁、最高裁事務総局、内閣法制局への大きな信頼を述べ、日本の司法を完全に賛美される論稿です。

 これに対して、〔2〕は、自動機械化された司法囚人として裁判官を描き、〔3〕も文字通り、「絶望の裁判所」を語り、旧ソ連に例えたり、「目に見えない檻のようなもの」(110頁、「ソフトな収容所群島」(113頁)、「全体主義的共産主義的体制に非常によく似ている」(118頁)と言われています。〔2〕も随所で、裁判所の絶望的状態を描写されています(「絶望的な、あまりに絶望的な実態」214頁)から、両著は、「絶望」裁判所シリーズになっています。

 〔3〕については、何枚もの著者の写真入りインタビュー・コメントがあります。関心のある方は、早めに魚拓を取っておくべきでしょう。コピーしてワードに貼り付けるだけで写真も保存できます。
 

 〔3〕では、宮川弁護士も所属されていた青法協狩りを「ブルー・パージ」と称して(第二次大戦後のレッド・パージとひっかけてある)、その成果を嬉々と語る最高裁判事らの話が出てきますが、〔1〕で宮川弁護士は、「最高裁は予想以上に自由で、聞かれていた。審議ではおおいに議論ができ、爽やかな人間関係であった。裁判官会議も積極的に問題提起をすれば(もっとも、その余裕はなかなかにないが)、議論できた。(改行)最高裁は1970年代のころと比較すると明らかに変わったと思う。」とされています。

 逆に、〔3〕の瀬木・元裁判官は、2000年代以降に、裁判所、裁判官集団の官僚化、セクハラ・パワハラ等が急速に進行・増加したと書かれています(35,51,52,75,174頁)。

 この〔1〕 対 〔2〕〔3〕の極端な違いはどこから来るのか、そのことへの関心が、4か月ぶりにブログを再開する契機です。

 本論(と言ってもたいしたことは書けませんが)を書く前に今ひとつ、自分なりに整理しておきないことがあるので、それは、次稿にします。
 「二〇〇〇年代の司法制度改革が・・・事務総局中心体制を無傷のまま温存してしまった」(117頁)のはその通りですが、「温存」のために事務総局がどれほど「司法改革つぶしに頑張った」のか、若干の資料はありますので、これから検証を開始しなければならないでしょう。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2013.07.29

弁No.124 長崎県立大学教授6か月懲戒停職処分の無効確認訴訟が終わりました

Dscf5780_r Dscf5781_r弁No.124  長崎県立大学教授懲戒6か月停職処分 無効確認訴訟が終わりました。6つの重要な裁判で、6戦6勝という結果で終了することができました。

 この(2013年)7月16日付けで、最高裁の決定があり、被告・長崎県立大学の上告を受理しないという判断をもって、最終決着となりました。

 私の弁護士としての業務で、生涯でもっともエネギーを使い、今後ともこれほどの時間と労力を費やす事件は絶対にない、という思い出深い事件となります。また、実務的にも理論的にも、「公立大学法人」や「国立大学法人」というコウモリのような存在の半官半民のような組織の法律問題の複雑さを、しこたま、味わいました。

 私のハードディスクには、この事件関連だけで、50のフォルダに、合計2,526のファイルが保存されています。まぁ、膨大な書類です。

 平成21(2009)年の3月頃から、長崎県議会長崎市議会百条委員会に参考人として呼ばれた教授の補佐人という仕事から始まって、あれよあれよ、という間に、ハチャメチャな懲戒処分が行われていきました。政治的ストーリーはみえていますから、案外に戦うべき方針は明確でした。

 まずは、①適正な手続を経ていない懲戒処分をしてはならいことを求める仮処分申立て

 ②裁判所から仮処分事件の審尋期日が指定されたことを承知で、事前手続もすっ飛ばし、弁護士の同席も拒む調査手続や弁明手続を経たことにして懲戒処分、ただちに、実行、教授としての地位確認の仮処分請求賃金仮払仮処分申立事件)、

 ③審尋期日が決まっているのに敢えて懲戒処分を行ったことを理由として裁判を受ける権利の侵害を理由として損害賠償請求訴訟(手続侵害損害賠償訴訟)、そして、

 ④もっとも重要な教授の地位確認訴訟懲戒停職処分無効確認訴訟)、と続きました。
 そのほかに、日弁連への人権救済申立も行っています。労基署へも頻繁に通いました。新聞社宛の抗議文も出しました。いろいろなことは、何回かに分けて書くべきでしょう。

 賃金の支払いを求める仮執行の請求も裁判所に認められましたが、これはここでは事件数から除外。上記の①~④まで、合計10の裁判を戦いました。

 ①は、懲戒処分をするな、という請求ですが、処分がすぐにされてしまったので、取下げ。③の訴訟は、今でも納得はいきませんが、最高裁判所まで3回争って、損害賠償事件として構成して主張した「裁判を受ける権利」は否定されました。

 ②と④は、それぞれ三審とも、原告である教授の勝訴で終わりました。

 詳しくは、原告支援者(長崎県立大学懲戒処分事件を考える会)が開設されているホームページをご覧ください。
  
 
 とりあえず、④のもっとも重要な、実質的に懲戒処分の無効が認められた判決を一審から順に貼り付けておきます。

 支援する会のホームページには、鑑定意見書を書いていただいた先生方の意見書や、その他の資料がふんだんに掲載されていますので、そちらを当面はご覧下さい。

 長崎地裁 平成23(2011)年11月30日判決 → 判決文

 福岡高裁 平成24(2012)年4月24日判決 → 判決文

 最高裁 平成25(2013)年7月16日 上告棄却決定(調書決定) → 判決文
 

 これから、事件を作り出した人々を各種の責任を追求する市民運動が始まるようです。 また、当事者=原告である久木野教授の所感にもリンク(上記「考える会」へのリンク)を張っておきます。  → 今の思い

 写真は、最高裁決定の内容が明らかになった7月19日の当日、急遽、長崎市内で行った記者会見

 今後、この記事には補充記載・補訂をすることがあります。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012.09.11

弁No.123 韓国の大学からの相次ぐロースクール生研修受け入れ

120907dscf51862弁No.123 さらに別の韓国の著名大学からも、現役のロースクール生の相互研修交流と教員の研究交流、第三国も入れた国際シンポジウム開催の申し入れ等も相次いでいます。こちら側に対応できるリソースがあるかどうか、いよいよ問題となってきそうです。

 近い時期に1桁の範囲内ですが、この大学からの研修生受け入れも始まります。

 英語やその他の外国語が司法試験科目でもなく、外国での実習や研修が全く単位になることもない日本からわざわざ外国に行くロースクール生が出てくることは考えられません。

 とはいうものの、現在在籍している学生さんたちには、こうした国際交流が学生の目にはほとんど触れないところで実質的に行われていることを知って欲しいものですし、他の日本国内のロースクールではほとんどやっていないことではないでしょうか。もう少し、胸を張っていいような気もします。

 日本側学生にとっては少しでも試験対策用の時間が欲しいでしょうから、学生どうしの交流も実質的には非常に限られます。

 教員も次々と国際シンポジウムの声がかかりますが、日本側で自分たちが企画する国際シンポなどをこなすだけで精一杯。

 ある意味で、長期展望を欠いたまま、次々と波に飲み込まれている、というのが実情なのでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧